EVシフトで部品点数が激減、サプライチェーンに革命
電気自動車(EV)への移行が自動車産業の構造を根本から変えようとしている。従来のガソリン車には約3万点もの部品が使われていたが、EVではその数が約1万点にまで減少する。これは、エンジンやトランスミッション、排気系など複雑な機構が不要になるためだ。この変化は、部品メーカーや自動車メーカーのビジネスモデルに大きな影響を及ぼしている。
サプライヤー淘汰の波、生き残りかける企業
部品点数の減少は、サプライチェーン全体の再編を促している。特にエンジン関連部品を主力とする中小サプライヤーは、EV向け部品への転換を迫られている。ある大手部品メーカーの幹部は「これまで培ってきた技術が一夜にして無価値になる可能性がある」と危機感を表明。一方で、バッテリーやモーター、インバーターなどEVに不可欠な部品を手がける企業は需要拡大を見込んでいる。
自動車メーカーの戦略転換、内製化と提携の動き
自動車メーカーも対応に追われる。従来のエンジン車では多くの部品を外部調達していたが、EVでは基幹部品の内製化を進める動きが顕著だ。例えば、テスラはバッテリーやモーターを自社開発しており、トヨタやフォルクスワーゲンも同様の戦略を取る。一方で、部品メーカーとの提携を強化し、共同開発を進めるケースも増えている。
雇用への影響、新たなスキルが求められる
部品点数減少は雇用にも波及する。エンジンやトランスミッションの製造に従事してきた労働者には、電気・電子系のスキルが求められるようになる。経済産業省の試算によれば、2030年までに自動車産業で約8万人の雇用が創出される一方、約5万人が失われる可能性があるという。政府は再教育プログラムの整備を急いでいる。
EV普及の課題、充電インフラとコスト
EVシフトを加速するには、充電インフラの整備が不可欠だ。日本では2025年までに充電器を15万基設置する目標が掲げられているが、現状は約3万基にとどまる。また、EVの車両価格は依然として高いが、バッテリーコストの低下により、2025年にはガソリン車と同等になるとの見方もある。こうした課題を克服し、自動車産業は新たな時代へと突入する。



