世界的な電気自動車(EV)シフトの加速により、ガソリン車向け部品を主力とするサプライヤー各社は、岐路に立たされている。内燃機関(エンジン)やトランスミッションなど、従来型のパワートレイン部品の需要減少は不可避であり、事業の抜本的な変革が急務となっている。
エンジン関連部品の需要減少
エンジンや燃料噴射装置、排気系部品など、ガソリン車に不可欠な部品の市場は縮小傾向にある。国際エネルギー機関(IEA)の予測によれば、2030年までに世界の新車販売に占めるEVの割合は35%以上に達するとされ、これに伴いエンジン関連部品の需要は大幅に減少する見込みだ。ある部品メーカーの幹部は「エンジン部品だけに依存していては、10年後には生き残れない」と危機感を募らせる。
サプライヤー各社の対応
こうした状況下、サプライヤー各社はEV向け部品へのシフトを加速している。例えば、デンソーはEV向けのインバーターやモーター、バッテリー管理システムなどの開発に注力。また、アイシンはEV向けのeアクスル(電動駆動モジュール)の生産を強化している。一方で、中小の部品メーカーは技術や資金面で大きな壁に直面しており、事業の選択と集中を迫られている。
M&Aによる事業再編も
業界再編の動きも活発化している。2023年には、部品大手のマレリとカルソニックカンセイの経営統合が発表された。これは、EVシフトに対応するための規模拡大と技術力向上が目的とされる。また、独部品大手のコンチネンタルは、エンジン部品事業の分離・独立を検討しているとの報道もある。
雇用への影響と地域経済
部品サプライヤーの変革は、雇用や地域経済にも大きな影響を及ぼす。特に、自動車産業が集積する地域では、ガソリン車部品の生産縮小による雇用喪失が懸念される。経済産業省の試算では、EVシフトにより2030年までに自動車部品産業で約8万人の雇用が影響を受ける可能性があるという。政府は、産業構造転換に向けた支援策を検討しているが、地域ごとの対応が課題となっている。



