東南アジアの自動車市場で、電気自動車(EV)シフトが急速に進んでいる。特に中国メーカーの攻勢が顕著で、日本メーカーは苦戦を強いられている。タイでは、中国のBYDが2023年にEV販売台数で首位に立ち、中国ブランド全体で市場の約7割を占めるに至った。この傾向はインドネシアやマレーシアなど他の東南アジア諸国でも同様で、中国勢が価格競争力と豊富な車種展開で存在感を高めている。
中国EVメーカーの躍進と日本勢の苦戦
タイ自動車協会のデータによると、2023年のタイ国内のEV販売台数は前年比で約4倍に増加し、そのうち中国ブランドが約70%を占めた。特にBYDは「ATTO 3」や「ドルフィン」などの人気モデルでシェアを拡大し、トヨタやホンダなど日本メーカーを大きく引き離している。日本メーカーはハイブリッド車(HV)で一定のシェアを維持しているが、EV分野では出遅れが目立つ。
各国の政策支援とインフラ整備
東南アジア各国はEV普及に向けた政策を打ち出している。タイは「EV3.5」政策で購入補助金や関税引き下げを実施し、インドネシアは2024年からEV購入補助金を開始。マレーシアもEV充電インフラ整備に積極的だ。これら政策が中国メーカーの進出を後押ししている。一方、日本メーカーは現地生産のEV投入が遅れており、巻き返しには時間がかかるとみられる。
勝者と敗者の構図
勝者は明らかに中国メーカーと、そのサプライチェーンに組み込まれた部品メーカーだ。敗者は日本メーカーと、日本式の部品調達に依存する地場部品メーカー。特にタイでは、日本メーカー向け部品を主力とする企業が受注減に直面している。業界関係者は「日本メーカーがEVシフトで遅れを取れば、東南アジアの自動車産業の地図が塗り替わる」と指摘する。
今後の展望と日本メーカーの戦略
日本メーカーも対策を急ぐ。トヨタはタイでEV生産を計画し、ホンダも2024年にEVを投入予定。しかし、中国メーカーとの価格差は大きく、競争は厳しい。また、東南アジア全体でEV充電インフラの整備が課題で、日本メーカーは官民連携でインフラ整備を支援する方針だ。今後の市場動向は、日本メーカーがどれだけ迅速にEV戦略を実行できるかにかかっている。



