EVシフト加速で変わる自動車産業の未来と課題
EVシフト加速で変わる自動車産業の未来

世界的なEV(電気自動車)シフトの加速により、自動車産業はかつてない変革期を迎えている。従来の内燃機関から電動パワートレインへの移行は、サプライチェーン、雇用、ビジネスモデルに根本的な変化をもたらしている。

サプライチェーンの再編

EVではエンジンやトランスミッションなど約3万点の部品が不要となり、代わりにモーターやバッテリー、パワーコントロールユニットなど約2万点の部品が必要となる。この部品点数の減少は、部品メーカーの再編を促している。特に、エンジン部品や排気系部品を主力とする企業は、事業ポートフォリオの見直しを迫られている。

バッテリーはEVの最重要部品であり、そのコストは車両価格の約30〜40%を占める。このため、自動車メーカーはバッテリーの内製化や、材料調達のための鉱山投資を進めている。例えば、トヨタは2026年までに次世代バッテリーを搭載したEVを投入する計画を発表しており、日産は独自の全固体電池の量産を2028年までに目指している。

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雇用への影響

EVシフトは雇用にも大きな影響を与える。日本経済産業省の試算によると、2030年までにエンジン関連部品の製造に携わる約8万人の雇用が減少する可能性がある。一方で、バッテリーやモーター、ソフトウェア開発などの新たな分野では約5万人の雇用が創出されると見込まれる。この雇用のミスマッチは、労働者の再教育や地域経済の活性化策が求められる。

「自動車産業は日本の製造業の核であり、雇用の約8%を支えています。EVシフトは単なる部品の置き換えではなく、産業構造そのものを変えるものです。政府と企業が連携し、円滑な移行を支援する必要があります」と、東洋経済の自動車産業アナリストは指摘する。

充電インフラの整備

EV普及の鍵を握るのが充電インフラの整備だ。日本では2023年末時点で約3万基の急速充電器が設置されているが、欧州の約50万基、中国の約100万基に比べて大きく遅れを取っている。政府は2030年までに急速充電器を15万基に増やす目標を掲げているが、設置場所の確保や運営コストの課題が残る。

また、家庭用充電器の普及も重要だ。一戸建て住宅では設置が進んでいるが、集合住宅では管理組合の合意が必要で、導入が遅れている。新築マンションへの充電器設置義務化の動きも出ているが、費用負担が課題となっている。

自動車メーカーの戦略

各社のEV戦略は加速している。ホンダは2040年までに新車販売を全てEVまたは燃料電池車(FCV)にする計画を発表。日産は2023年から2026年までの間に19車種のEVを投入する方針だ。トヨタも2026年までにEVの年間販売台数を150万台に引き上げる目標を掲げる。

一方、中国メーカーの台頭も無視できない。BYDは2023年に日本市場に参入し、低価格EVで存在感を示している。中国製EVのコスト競争力は高く、日本メーカーは価格面での競争を強いられている。

今後の展望

EVシフトは環境規制の強化や技術革新により、今後10年でさらに加速すると予想される。しかし、原材料価格の高騰や充電インフラの整備遅れ、雇用問題など、解決すべき課題は多い。日本の自動車産業が競争力を維持するためには、技術開発と同時に、社会全体での受け入れ態勢を整えることが不可欠だ。

「EVシフトは避けられない流れですが、日本の強みであるハイブリッド技術や水素技術も活かしながら、多様なモビリティ社会を構築すべきです」と、前出のアナリストは語る。

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