世界の自動車業界で電気自動車(EV)シフトが加速している。主要国がガソリン車の販売禁止を打ち出す中、日本メーカーも対応を迫られている。トヨタ自動車などはハイブリッド車(HV)戦略を強めるが、EV市場の急拡大にどう対応するかが課題だ。
主要国がガソリン車禁止へ
欧州連合(EU)は2035年までにガソリン車の新車販売を事実上禁止する方針を固めた。英国も2030年までにガソリン車の販売を禁止し、2035年までにHVも禁止する計画だ。中国や米国カリフォルニア州も同様の目標を掲げている。
これに対し、日本の自動車メーカーはEVへの本格転換が遅れている。トヨタはHVや燃料電池車(FCV)も含めたマルチパスウェイ戦略を掲げるが、海外ではEV一択の流れが強まっている。
日本メーカーの現状
トヨタは2021年12月、2030年までにEVを30車種投入し、年間350万台販売する目標を発表した。しかし、世界のEV販売台数は2021年に約660万台と前年比108%増加しており、トヨタの目標は控えめに見える。
日産自動車はリーフでEV市場を開拓したが、近年は競争に苦戦している。ホンダは2040年までに全販売をEV・FCVにする目標を掲げるが、具体的な車種投入計画はまだ少ない。
部品メーカーへの影響
EVシフトは部品メーカーにも大きな影響を与える。エンジンやトランスミッションなど内燃機関向け部品の需要が減少する一方、バッテリーやモーターなどEV向け部品の需要が急増する。デンソーやアイシンなど大手部品メーカーはEV向け事業の拡大を急いでいる。
しかし、中小部品メーカーの中には技術転換が難しく、廃業や統合を迫られるケースも出てきている。経済産業省は2021年、自動車部品サプライヤーの構造転換を支援する方針を示した。
EV市場の課題
EV普及には充電インフラの整備やバッテリーコストの低減が不可欠だ。日本では充電器の設置数が欧州や中国に比べて少なく、航続距離への不安が消費者の購入意欲を鈍らせている。政府は2030年までに充電器を15万基設置する目標を掲げるが、達成にはさらなる投資が必要だ。
また、バッテリーの原材料であるリチウムやコバルトの価格高騰も課題だ。日本メーカーは電池の安定調達に向け、鉱山権益の確保やリサイクル技術の開発を進めている。
今後の展望
世界のEV市場は今後も急成長が見込まれる。国際エネルギー機関(IEA)は2030年までに世界のEV販売台数が約3000万台に達すると予測している。日本メーカーがこの流れに乗り遅れれば、競争力を失う恐れがある。
トヨタの豊田章男社長は「EVだけが唯一の選択肢ではない」と述べ、多様な技術開発の重要性を強調する。しかし、市場のトレンドは明らかにEVに向かっており、日本メーカーはスピード感を持った対応が求められている。



