世界的なEVシフトの加速により、自動車産業の雇用構造が大きく変わろうとしている。エンジンやトランスミッションなど、従来の内燃機関車に必要な部品点数は約3万点とされるが、EVではその数が約1万点にまで減少すると言われている。このため、多くの部品メーカーは事業の存続が危ぶまれており、業界再編は避けられない情勢だ。
雇用への影響は計り知れず
部品点数の減少は、直接的に雇用の減少につながる。日本自動車工業会の試算によれば、2030年までに国内の自動車関連雇用の約20%が失われる可能性があるという。特に、エンジンや排気系部品を手掛ける中小部品メーカーへの影響は大きく、事業転換や廃業を余儀なくされる企業も出てくるだろう。
サプライチェーンの激変
EVシフトは単に部品点数が減るだけでなく、サプライチェーンの構造そのものを変える。バッテリーやモーターなど、新しい主要部品の供給網が構築される一方で、従来の部品メーカーは取引先を失うことになる。ある自動車部品メーカーの幹部は、「これまで培ってきた技術やノウハウが一瞬で無価値になる可能性がある。早急な対応が求められる」と危機感を募らせる。
政府の支援策が鍵
こうした状況を受け、政府は部品メーカーの事業転換を支援するための補助金制度を拡充する方針だ。しかし、支援額は限られており、すべての企業を救済できるわけではない。業界団体からは、「抜本的な対策が必要だ」と声が上がっている。
一方で、EVシフトは新たな雇用を生み出す可能性もある。バッテリーや充電インフラ関連の分野では、新たな人材需要が見込まれる。しかし、それには従業員のスキル転換が不可欠であり、教育訓練の充実が急務となる。
地域経済への打撃も懸念
自動車産業は多くの地域で主要産業となっており、雇用喪失は地域経済に深刻な打撃を与える恐れがある。特に、部品メーカーの集積地である愛知県や静岡県、広島県などでは、雇用対策が喫緊の課題となっている。
ある経済アナリストは、「自動車産業の変革は不可避であり、それに適応できない企業は淘汰される。政府と企業が連携して、雇用のセーフティネットを整備するとともに、新たな産業創出を促進する必要がある」と指摘する。



