中国の電気自動車(EV)市場が急速に拡大する中、日本メーカーを含む自動車部品大手は岐路に立たされている。2023年の中国EV販売台数は前年比36%増の約950万台に達し、世界最大の市場としての地位を確固たるものにした。この成長は、部品サプライヤーに新たなビジネスチャンスをもたらす一方、技術競争の激化を招いている。
中国EV市場の急拡大と部品需要の変化
中国自動車工業協会のデータによると、2023年の新車販売全体に占めるEVの割合は約31%に上昇。特に、BYDや蔚来汽車(NIO)などの地元メーカーがシェアを拡大している。この変化に伴い、バッテリーやモーター、インバーターなどEV特有の部品需要が急増している。
日本貿易振興機構(ジェトロ)の担当者は「中国市場では、従来のエンジン関連部品からEV向け部品へのシフトが加速している」と指摘。日本企業は、エンジンやトランスミッションで培った技術を活かせず、新たな競争に直面している。
日本部品メーカーの戦略と課題
デンソーやアイシンなど日本の大手部品メーカーは、EV向け製品の開発を強化。デンソーは2025年までにEV関連事業の売上高を現在の2倍に引き上げる目標を掲げる。しかし、中国市場では地元サプライヤーが低価格で攻勢をかけており、日本企業は価格競争に巻き込まれている。
また、中国のEVメーカーは垂直統合を進め、部品の内製化比率を高めている。BYDは自社でバッテリーや半導体を生産し、外部調達を減らしている。これに対し、日本企業は「技術力で差別化する必要がある」(業界アナリスト)とされる。
今後の展望と日本企業の対応
中国のEV市場は今後も成長が見込まれ、2025年には販売台数が1500万台を超えるとの予測もある。日本企業は、中国市場でのシェア拡大のために、現地パートナーとの連携強化や、高付加価値部品への特化が求められている。
一方で、日本政府はEV部品の輸出促進策を検討しており、経済産業省は「日本の技術を活かした部品で中国市場を開拓する」と表明。しかし、地政学的リスクや規制強化もあり、日本企業の戦略は不透明さを増している。



