EVシフト加速、中国勢が席巻する東南アジア市場の現実
EVシフト加速、中国勢が席巻する東南アジア市場

東南アジアの電気自動車(EV)市場で、中国メーカーの存在感が急速に高まっている。タイでは2024年、新車販売に占めるEVの割合が約12%に達し、そのうち約8割を中国ブランドが占めた。一方、日本車メーカーのEVシェアは1%未満にとどまっており、かつて内燃機関車で圧倒的な強みを誇った日本勢の苦戦が鮮明になっている。

中国勢の攻勢と現地生産の拡大

タイではBYDや長城汽車、SAIC Motor傘下のMGなどがEV市場を席巻。特にBYDは2024年、タイで約3万台のEVを販売し、トップシェアを獲得した。これらの中国メーカーは単に車両を輸出するだけでなく、タイ国内での生産拠点も積極的に設置している。BYDは2024年7月にタイ工場を稼働させ、年間15万台の生産能力を持つ。長城汽車も既に生産を開始しており、MGも現地生産を拡大している。

この動きはタイだけにとどまらない。インドネシアでは、中国の五菱汽車(Wuling)がEV市場でシェア約5割を握り、韓国のヒョンデと競合。ベトナムでは地場系VinFastがシェア首位だが、中国勢の参入も進んでいる。東南アジア全体で見ると、中国ブランドのEVシェアは2023年の約6割から2024年には7割超に上昇した。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

日本車メーカーの苦境と巻き返し戦略

日本車メーカーは長年、東南アジアで高いシェアを誇ってきたが、EVシフトで出遅れている。トヨタは2024年、タイでEV「bZ4X」を販売するが、価格が約400万バーツ(約1700万円)と高く、販売台数は限定的。日産は「リーフ」を販売するが、航続距離や価格競争力で中国勢に劣る。ホンダは2024年にタイでEV「e:N1」を投入したが、市場での存在感は薄い。

日本勢の課題は価格競争力と充電インフラの整備に加え、中国勢に比べてEVのラインアップが乏しいことだ。トヨタは2025年以降、タイでEVの現地生産を計画するが、中国勢に比べて2〜3年遅れている。業界関係者は「日本メーカーが東南アジアでEV市場を奪還するには、低価格帯の車種投入と、現地パートナーとの協業が不可欠」と指摘する。

各国政府のEV推進政策と補助金競争

東南アジア各国はEV普及に向けた政策を加速させている。タイ政府は2024年までにEV購入者に最大15万バーツ(約64万円)の補助金を支給し、輸入関税も引き下げた。インドネシアは2023年からEV購入補助金を導入し、2025年までにEV生産台数60万台を目標に掲げる。ベトナムも充電インフラ整備に補助金を出すなど、各国が中国企業の投資を呼び込む競争を繰り広げている。

こうした政策が中国勢の進出を後押ししており、日本車メーカーは補助金の恩恵を受けにくい状況にある。日本政府は2024年、東南アジアでのEV普及支援として約1000億円の資金協力を表明したが、具体的な成果はまだ見えていない。

今後の展望と日本勢の活路

東南アジアのEV市場は今後も拡大が見込まれ、2025年には新車販売の20%超がEVになると予測する調査会社もある。中国勢は既に現地生産と販売網を確立しつつあり、日本勢が追い上げるには、ハイブリッド車(HV)からEVへの段階的な移行戦略や、タイ・インドネシアでの現地生産拡大、充電インフラへの投資強化が必要となる。

また、日本メーカーが強みを持つ小型商用車やピックアップトラックのEV化も一つの活路だ。トヨタは2025年までにタイでEVピックアップトラックの生産を検討している。日本勢が再び東南アジア市場で存在感を示せるかは、今後の投資と戦略にかかっている。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ