EVシフト加速、中国勢が席巻する東南アジア市場の現実
EVシフト加速、中国勢が席巻する東南アジア市場 (18.07.2026)

東南アジアの自動車市場で、電気自動車(EV)シフトが加速している。特にタイでは、2023年のEV新車販売台数の約8割を中国ブランドが占め、日本車メーカーのシェアを大きく脅かしている。この動きは、インドネシアやマレーシアなど他の東南アジア諸国にも波及しており、日本車メーカーにとっては大きな逆風となっている。

タイ市場での中国EVの躍進

タイ自動車協会によると、2023年のタイ国内のEV新車販売台数は約7万6000台で、前年比で約4倍に増加した。このうち、中国の比亜迪(BYD)が約3万台でトップ、上海汽車(SAIC)や長城汽車なども上位にランクインした。一方、日産自動車や三菱自動車などの日本メーカーのEV販売は低迷しており、日本車メーカーの存在感は薄れている。

タイ政府は2030年までに新車販売の30%をEVにする目標を掲げ、購入補助金や減税などの優遇策を実施している。これに中国メーカーが積極的に対応し、低価格帯のEVを投入したことが販売増につながった。例えば、BYDの小型EV「ドルフィン」は約76万バーツ(約310万円)から購入可能で、ガソリン車と同等の価格帯を実現している。

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日本メーカーの苦戦と戦略転換

日本メーカーはこれまで、ハイブリッド車(HV)で東南アジア市場を席巻してきた。トヨタ自動車の「カローラ・クロス」HVやホンダの「シティ」HVなどが人気を博してきたが、EVシフトの流れの中でHVだけでは競争力を維持できなくなっている。

トヨタは2023年12月、タイでピックアップトラックの「ハイラックス」のEV版を2024年内に発売すると発表。また、ホンダも2024年にタイでEVの量産を開始する計画を明らかにした。しかし、中国メーカーに比べて商品投入のスピードが遅く、価格競争でも劣勢に立たされている。

業界関係者は「日本メーカーはHVで稼いだ資金をEV開発に振り向ける必要があるが、中国メーカーの猛攻にどう対応するかが課題」と指摘する。

インドネシア・マレーシアへの波及

タイに続き、インドネシアでも中国EVの販売が拡大している。インドネシア自動車工業会によると、2023年のEV販売台数は約1万7000台で、前年比で約2倍。このうち、中国の五菱汽車(Wuling)が約8000台でトップ、韓国の現代自動車が約6000台で続く。日本メーカーでは、日産の「リーフ」が約100台と苦戦している。

マレーシアでも、中国の長城汽車が2023年にEV「オーラ」を発売し、好調な販売を記録している。マレーシア政府はEV購入に対する免税措置を導入しており、市場の拡大が期待される。

供給網と現地生産の動き

中国メーカーは販売だけでなく、現地生産にも積極的だ。BYDは2024年、タイに年産15万台規模の工場を稼働させる。長城汽車もタイで生産を開始しており、部品の現地調達率を高める方針だ。これにより、価格競争力がさらに向上する可能性がある。

一方、日本メーカーはタイやインドネシアで既に生産拠点を持つが、EV向けのサプライチェーン構築が遅れている。トヨタはタイでEV用バッテリーの生産を計画しているが、本格的な量産には時間がかかる見通しだ。

今後の展望と日本メーカーの課題

東南アジアのEV市場は2025年以降、さらに拡大すると予想される。国際エネルギー機関(IEA)は、東南アジアのEV販売台数が2030年には250万台に達するとの見通しを示している。この市場で日本メーカーが生き残るためには、EVの投入加速と価格競争力の強化が不可欠だ。

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しかし、中国メーカーは既にブランド認知度を高めており、日本メーカーが巻き返すのは容易ではない。日本メーカーはHVや燃料電池車(FCV)など複数の技術を併用する戦略を取っているが、EVシフトの流れの中で明確な方向性を示す必要に迫られている。