EVシフト加速もガソリン車は2035年まで生産継続、部品サプライヤーに求められる戦略転換
EVシフト加速もガソリン車は2035年まで生産継続、部品サプライヤーに求められる戦略転換

自動車業界では電気自動車(EV)へのシフトが急速に進んでいるが、ガソリン車の生産は少なくとも2035年まで継続される見通しだ。この長期にわたる過渡期において、部品サプライヤーは従来の内燃機関車向け部品とEV向け部品の両方を供給できる体制を求められており、戦略的な転換が急務となっている。

ガソリン車需要は当面続く、部品サプライヤーに二重の負担

世界的なEV普及の流れは止まらないが、主要自動車メーカー各社は依然としてガソリン車の生産を続けている。トヨタ自動車は2026年に次世代EVを投入する計画だが、同時にハイブリッド車やガソリン車のラインアップも維持する方針だ。このため、部品サプライヤーは従来型エンジン向け部品の需要減少を見据えつつ、EV向けの新たな部品開発にも投資しなければならない。

ある大手部品メーカーの幹部は「ガソリン車向け部品の収益は依然として大きいが、中長期的にはEV向けにシフトせざるを得ない。両方の技術に対応するための研究開発費が経営を圧迫している」と語る。実際、同社の2023年度の売上高に占めるEV関連部品の比率はわずか15%にとどまるが、2028年度には40%まで引き上げる計画だ。

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EV部品の収益性は低い、規模の経済が鍵に

EV向け部品の製造は、ガソリン車向けに比べて収益性が低い傾向にある。特にモーターやインバーターなどの電動化ユニットは、従来のエンジン部品よりも部品点数が少なく、単価も低い。また、EVの普及初期段階では生産台数が限られるため、規模の経済が働きにくい。

調査会社のデータによると、EV向けパワートレイン部品の営業利益率は平均5%程度で、ガソリン車向けの10%を大きく下回る。このため、部品サプライヤーは量産効果が出るまで低収益に耐えながら、技術開発を進めなければならない。

サプライチェーンの再編、地域ごとに異なるEV普及ペース

EVシフトの速度は地域によって異なり、部品サプライヤーは対応を迫られている。中国ではEV販売が急増しており、2023年の新車販売に占めるEVの割合は25%を超えた。一方、日本ではまだ2%程度にとどまる。欧州では2035年にガソリン車の新車販売禁止を予定しているが、実際の普及は補助金や充電インフラの整備状況に左右される。

こうした状況下で、部品サプライヤーはグローバルな生産拠点の再配置を検討している。ある部品メーカーは「中国向けのEV部品生産を拡大する一方、日本国内ではガソリン車向け部品の生産を維持する。地域ごとに最適な生産計画を立てる必要がある」と説明する。

新技術への投資と既存事業のバランス、中小サプライヤーには死活問題

大手部品メーカーはEV関連の研究開発に巨額の投資が可能だが、中小のサプライヤーにとっては経営の存続に関わる問題だ。特にエンジン部品を専門とする企業は、事業の多角化が急務となっている。ある中小部品メーカーの社長は「エンジン部品だけでは生き残れない。EV向けの部品や、水素関連など別の分野への進出を模索している」と語る。

業界団体の試算では、2030年までに部品サプライヤーの約3割が事業転換を迫られる可能性がある。政府も中小企業の技術転換を支援する補助金制度を設けているが、申請手続きの複雑さや採択率の低さが課題だ。

EVシフトの勝ち組は?部品サプライヤーの未来

EVシフトの最終的な勝者は、早期に技術転換を果たし、量産効果でコスト競争力を獲得した部品サプライヤーになると見られる。特に、EVの心臓部であるバッテリーやモーターの主要部品を供給できる企業は、成長が見込める。一方で、ガソリン車向け部品に特化した企業は、需要減少に伴う淘汰が避けられない。

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業界アナリストは「部品サプライヤーは今後10年で大きく様変わりする。技術力と資金力のある企業が生き残り、そうでない企業は統合や撤退を迫られるだろう」と指摘する。自動車業界の100年に一度の変革期は、部品サプライヤーにとっても試練の時となっている。