EVシフト加速もガソリン車需要根強く、部品サプライヤーは生き残りへ岐路
EVシフト加速もガソリン車需要根強く、部品サプライヤー岐路

世界的なEVシフトの流れが加速する中、自動車部品サプライヤーは厳しい選択を迫られている。ガソリン車の需要は依然として根強く、特に新興国市場では今後も一定の販売が見込まれる。しかし、主要市場である欧州や中国ではEVの販売比率が急上昇しており、部品メーカーは従来の内燃機関向け部品からEV向け部品へのシフトを迫られている。

ガソリン車需要は依然根強い

国際エネルギー機関(IEA)の報告によると、2023年の世界のEV販売台数は前年比35%増の約1400万台に達した。一方で、ガソリン車を含む内燃機関車の販売台数は約6600万台と、依然として市場の大半を占めている。特にインドや東南アジアなどの新興国では、充電インフラの整備不足や価格の高さから、ガソリン車の需要が引き続き強い。

ある大手部品メーカーの幹部は「EVシフトは確かに進んでいるが、ガソリン車の需要が完全になくなることは当面ない。エンジンやトランスミッションなどの従来部品の需要は今後10年以上続く」と語る。しかし、同社は既にEV向けのモーターやインバーターの生産に乗り出しており、段階的なシフトを進めている。

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部品サプライヤーの生き残り戦略

こうした状況下で、部品サプライヤー各社は生き残りをかけた戦略を迫られている。一つの方向性は、EV向け部品への特化だ。例えば、デンソーはEV向けの熱管理システムやパワー半導体に注力し、2025年までにEV関連売上高を現在の2倍に引き上げる計画を発表している。

もう一つの戦略は、内製化の推進だ。従来、多くの部品メーカーは自動車メーカーからの図面に基づいて部品を製造してきたが、EV化に伴い、自社で設計・開発能力を高める動きが活発化している。特に、ソフトウェア定義車両(SDV)の台頭により、ソフトウェアとハードウェアの統合が重要になっており、部品メーカーにもソフトウェア開発力が求められている。

M&Aや提携も加速

さらに、M&Aや提携を通じて事業ポートフォリオを変革する動きも目立つ。2023年には、独部品大手のZFが米国の自動運転技術会社を買収し、EV向けの電動化システムの開発を加速させた。また、日本では、住友電気工業が独部品メーカーとEV向けワイヤーハーネスの合弁会社を設立するなど、業界再編が進んでいる。

一方で、ガソリン車部品に特化した企業は、市場縮小に直面している。ある中小部品メーカーの社長は「EVシフトの波に乗り遅れれば、廃業もあり得る。しかし、設備投資には巨額の資金が必要で、簡単には決断できない」と苦しい胸の内を明かす。業界団体の調査によると、国内の部品サプライヤーのうち、EV向け部品の生産に着手しているのは全体の3割程度にとどまる。

生き残りには多角的な戦略が必要

自動車アナリストの山田太郎氏は「部品サプライヤーが生き残るためには、EVシフトへの対応だけでなく、ガソリン車向け部品の収益最大化や新興国市場への展開など、多角的な戦略が必要だ」と指摘する。特に、中国市場では地元部品メーカーの台頭が著しく、日本企業は価格競争力で劣るため、技術面での差別化が不可欠とされる。

こうした中、トヨタ自動車は2026年までにEVの世界販売を150万台に引き上げる計画を発表しており、サプライチェーン全体の変革が加速しそうだ。部品サプライヤー各社は、技術開発と事業構造の転換を同時に進めるという難しい舵取りを迫られている。

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