EV販売不振でバッテリー企業が巨額赤字、中国市場の過熱と欧州需要減が直撃
EV販売不振でバッテリー企業が巨額赤字、中国市場過熱と欧州需要減が直撃

世界的な電気自動車(EV)販売の減速が、バッテリーメーカーの経営を直撃している。中国の大手バッテリーメーカーである寧徳時代新能源科技(CATL)や比亜迪(BYD)傘下の弗迪電池などは、2024年第1四半期に前年同期比で大幅な減益を報告。特に、韓国のLGエナジーソリューションは2024年1-3月期に約3,500億ウォン(約380億円)の営業赤字を計上し、前年の黒字から転落した。

中国市場の競争激化が収益圧迫

中国では、EV販売競争の激化に伴い、バッテリー価格が急落している。調査会社SNEリサーチによると、2024年初めのリチウムイオンバッテリーの平均価格は1キロワット時あたり約120ドルと、前年比で20%以上下落。CATLは価格競争に対応するため、一部製品で最大30%の値下げを実施したとされる。

中国汽車工業協会のデータでは、2024年第1四半期の中国EV販売台数は前年同期比で約25%増加したものの、販売台数当たりのバッテリー搭載量は減少傾向にある。これは、低価格帯の小型EVの販売比率が高まったことが原因で、バッテリーメーカーの売上高成長を鈍化させている。

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欧州需要減退と補助金縮小

欧州市場では、ドイツやフランスなど主要国がEV購入補助金を縮小または廃止した影響で、需要が冷え込んでいる。欧州自動車工業会(ACEA)の統計によると、2024年1-4月の欧州連合(EU)の新車EV販売台数は前年同期比で約12%減少。これにより、欧州向けバッテリー出荷が減少し、韓国や日本のバッテリーメーカーに打撃を与えている。

パナソニックホールディングスは、北米向けEVバッテリー事業で2024年度に約1,000億円の営業損失を見込むと発表。同社の担当者は「北米市場のEV需要が予想を下回っており、生産調整を余儀なくされている」とコメントした。

業界再編の動き加速

こうした状況を受け、バッテリー業界では再編の動きが活発化している。2024年5月、韓国のSKオンはフォード・モーターとの合弁事業を見直し、生産能力の一部を削減する計画を発表。また、中国のCATLは、欧州での生産拠点拡大を一時凍結し、需要動向を注視する方針を示した。

一方、新興メーカーも厳しい状況に直面している。米国のバッテリースタートアップ、クアンタムスケープは、2024年第1四半期に純損失が前年同期比で約40%拡大し、資金調達の必要性が高まっている。業界関係者は「今後2〜3年で多くの中小メーカーが市場から撤退する可能性がある」と指摘する。

長期的な成長期待と短期的な痛み

国際エネルギー機関(IEA)は、世界のEV販売台数が2030年までに年間約4,000万台に達すると予測しており、長期的なバッテリー需要の成長は期待されている。しかし、短期的には在庫調整と需要回復の遅れが続くとみられ、バッテリーメーカーの収益改善には時間がかかるとの見方が強い。

アナリストの間では、バッテリー価格の下落がEVの普及を促進するという見方もある。実際、低価格帯のEVが市場を拡大しており、中国のBYDは2024年に世界販売台数でテスラを上回る可能性があるとの観測も出ている。ただ、バッテリーメーカーにとっては、価格競争が収益性を大きく損なうリスクをはらんでいる。

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