電気自動車(EV)の販売が世界的に鈍化している。2024年上半期の世界EV販売台数は前年同期比で約20%増にとどまり、前年の60%超の伸びから急減速した。この影響で、トヨタ自動車やフォルクスワーゲン(VW)など主要メーカーはEV生産計画の下方修正を余儀なくされ、部品調達の見直しが進んでいる。
EV販売鈍化の背景
販売鈍化の主因は、補助金縮小や充電インフラ不足、価格高騰にある。特に中国市場では、政府補助金の段階的廃止が需要を冷やし、欧州でも充電設備の整備遅れが普及の壁となっている。米国では、高金利がEV購入の負担を増している。
日産自動車の広報担当者は「EV需要の不透明感が強まっている。顧客の懐具合や充電環境を考慮し、ハイブリッド車(HV)とEVのバランスを見直す必要がある」と述べた。
メーカーの対応と部品調達の変化
トヨタは2026年までのEV販売目標を150万台から100万台に下方修正した。VWも2030年までのEV販売比率目標を50%から40%に引き下げた。これに伴い、各社はバッテリーやモーターなどEV専用部品の発注を抑制し、従来のエンジン車やHV向け部品の調達を継続する方針に転じている。
部品サプライヤーへの影響は大きく、デンソーやコンチネンタルなど大手はEV向け投資を一部延期。一方で、HV向け部品の需要が堅調なため、生産ラインの柔軟な切り替えが求められている。
サプライチェーンの再編加速
この状況下で、部品業界では再編の動きが活発化している。例えば、独部品大手ZFは、EV向け電動駆動ユニット事業の一部を売却し、従来のトランスミッション事業に注力する方針を発表。また、日本の部品メーカー間では、EV用バッテリーケースの共同生産を縮小し、エンジン部品の生産を増やす動きが出ている。
業界アナリストは「EV販売の鈍化は一時的かもしれないが、メーカーとサプライヤーは中長期的な需要予測を見直し、リスク分散を図る必要がある。特に、特定の技術に過度に依存しない柔軟なサプライチェーン構築が競争力の鍵となる」と指摘する。
今後の展望
長期的には、各国の環境規制強化によりEVシフトは不可避と見られる。欧州連合(EU)は2035年にガソリン車の新車販売を事実上禁止する方針を堅持。しかし、短期的な需要変動に対応するため、メーカー各社はHVやプラグインハイブリッド車(PHV)を足がかりにしながら、EVへの移行を段階的に進める戦略を採用している。
部品業界では、EV専用部品と従来型部品の両方を効率的に生産できる体制づくりが急務となっている。今後、サプライヤーの事業ポートフォリオ見直しや業界再編がさらに加速する可能性がある。



