EV販売鈍化でバッテリー大手が戦略転換、LFP電池に注力へ
EV販売鈍化でバッテリー大手がLFP電池に注力

世界的な電気自動車(EV)販売の減速を受け、大手バッテリーメーカーが戦略の見直しを迫られている。従来の高エネルギー密度型から、コスト競争力に優れたリン酸鉄リチウムイオン(LFP)電池へのシフトが加速している。

EV販売鈍化の影響

2024年に入り、主要市場でのEV販売が予想を下回る伸びにとどまっている。特に中国市場では補助金縮小の影響で需要が冷え込み、欧州でも充電インフラ不足が普及の足かせとなっている。この状況を受け、バッテリーメーカー各社は生産計画の見直しを余儀なくされている。

業界大手のCATL(寧徳時代新能源科技)は、2024年第1四半期の純利益が前年同期比で約10%減少したと発表。同社の広報担当者は「市場環境の変化に対応し、製品ポートフォリオを多様化する必要がある」と述べている。

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LFP電池へのシフト

こうした中、注目を集めているのがLFP電池だ。従来の三元系リチウムイオン電池に比べエネルギー密度は低いものの、原材料コストが安く、安全性が高いという利点がある。また、ニッケルやコバルトといったレアメタルを使用しないため、供給リスクも低い。

韓国のLGエナジーソリューションは2024年4月、LFP電池の生産ラインを新設すると発表。2025年までに年間20GWhの生産能力を確保する計画だ。また、SKオンも2024年6月にLFP電池の量産開始を発表しており、業界全体でLFP電池へのシフトが加速している。

業界再編の兆し

LFP電池へのシフトは、バッテリー業界の再編を促す可能性がある。市場調査会社のSNEリサーチによると、2024年の世界のEV用バッテリー市場シェアは、CATLが35%、LGエナジーソリューションが15%、パナソニックが10%と予想されている。しかし、LFP電池の台頭により、技術力よりもコスト競争力が重視されるようになれば、シェアの変動が起こり得る。

アナリストのジェームズ・フリマン氏は「LFP電池へのシフトは、バッテリーメーカーにとって新たな競争の舞台となる。コスト削減に成功した企業が市場をリードするだろう」と指摘する。

今後の展望

一方で、LFP電池の普及には課題もある。エネルギー密度が低いため、航続距離の長い高級EVには不向きだ。また、低温環境での性能低下も指摘されている。しかし、短距離走行の多い都市部での利用や、商用車向けには十分な性能を発揮するとみられる。

バッテリーメーカー各社は、LFP電池と三元系電池の両方をラインアップに揃え、顧客のニーズに応じた最適な製品を提供する戦略をとっている。今後の市場動向を見極めながら、さらなる技術開発と生産効率の向上が求められる。

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