中国の電気自動車(EV)市場で販売が失速し、競争が激化している。業界トップのBYDは低価格戦略で販売台数を伸ばしているが、テスラは高級路線で苦戦を強いられている。市場全体の成長鈍化に加え、政府による補助金削減が需要を冷やしている。
販売台数の明暗
中国乗用車協会(CPCA)のデータによると、2024年1月から7月までのEV販売台数は前年同期比で約10%増の400万台にとどまり、前年の約30%増から大きく減速した。BYDは同期間に約150万台を販売し、前年比20%増を達成。一方、テスラは約30万台で、前年比5%減となった。
BYDの低価格モデル「シーガル」は5万元(約100万円)未満で販売され、若年層を中心に人気を集めている。テスラの「モデル3」は25万元(約500万円)以上と高価格帯に位置し、販売が伸び悩んでいる。
政府補助金の影響
中国政府は2023年末にEV購入補助金を段階的に廃止。これにより、価格感応度の高い消費者が購入を控える傾向が強まった。補助金削減は高価格帯のEVに特に打撃を与えている。
市場アナリストの張明氏は「補助金がなくなったことで、消費者はより価格に敏感になり、低価格モデルへのシフトが加速している」と指摘する。
各社の戦略
BYDは低価格戦略に加え、独自のバッテリー技術「ブレードバッテリー」を採用し、安全性をアピール。一方、テスラは自動運転技術やスーパーチャージャーネットワークといった優位性を強調するが、価格競争には巻き込まれまいとしている。
中国市場では新興EVメーカーも台頭しており、競争はさらに激化する見通しだ。小鵬汽車(Xpeng)や蔚来汽車(NIO)も低価格モデルを投入し、シェア拡大を狙う。
今後の展望
EV市場の成長鈍化は世界的な傾向だが、中国市場の動向は世界のEV産業に大きな影響を与える。BYDの躍進が続くのか、テスラが巻き返すのか、業界の行方が注目される。



