EV販売急減速、日本の自動車業界に迫る構造転換の現実
EV販売急減速、日本の自動車業界に迫る構造転換

世界の電気自動車(EV)市場で販売減速が顕著になっている。日本でもEV販売が伸び悩み、自動車メーカー各社は戦略の見直しを迫られている。トヨタ自動車は2024年のEV販売台数を当初計画の40%減となる約10万台に下方修正。日産自動車も2026年度までのEV販売目標を従来の100万台から80万台に引き下げた。

販売減速の要因

EV販売減速の背景には、充電インフラの整備遅れや価格の高止まりがある。特に日本では、公共充電器の設置数が2023年末時点で約3万基と、欧州(約50万基)や中国(約260万基)に比べて大幅に少ない。また、EVの平均価格は約500万円と、ガソリン車の約2倍で、価格面での普及障壁が高い。

さらに、中国市場での競争激化も影響している。中国ではBYDなど地元メーカーが低価格EVを投入し、日本メーカーのシェアが低下。2023年の中国市場での日本車販売台数は前年比15%減の約200万台と、過去10年で最低水準となった。

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メーカーの対応

各社は戦略の転換を迫られている。トヨタはEV専用工場の新設計画を延期し、ハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHV)への投資を強化する方針。日産は2026年までに投入予定の新型EVを3モデルから2モデルに削減し、中国市場では内燃機関車の生産を継続する。

ホンダは2024年に中国で発売した新型EV「e:Nシリーズ」の販売が低迷し、生産計画を半減。マツダは2030年までのEV比率目標を25%から15%に下方修正した。

政府目標の達成は困難

日本政府は2035年までに新車販売の100%を電動車(EV、HV、PHV、燃料電池車)とする目標を掲げるが、現状のペースでは達成は困難だ。2023年の電動車販売比率は約30%で、うちEVはわずか2%強。充電インフラ整備には約1兆円の追加投資が必要と試算される。

業界関係者は「EVシフトは不可避だが、速度調整が必要」と指摘。特に地方では充電インフラ不足が深刻で、EV普及には時間がかかるとみられる。

今後の展望

国際エネルギー機関(IEA)は2024年の世界EV販売台数を前年比20%増の約1700万台と予測するが、成長率は鈍化傾向。日本市場では2024年のEV販売台数が約8万台と前年比横ばいにとどまる見通し。

日本自動車工業会の豊田章男会長は「顧客の選択肢を狭めるべきではない。多様なパワートレインが必要」と述べ、政府の電動化目標に慎重姿勢を示している。一方、環境団体からは「目標達成に向けたより強力な政策が必要」との声が上がっている。

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