欧州の主要自動車メーカーが、電気自動車(EV)の販売鈍化を受けてバッテリー関連投資の見直しを進めている。需要の伸びが予想を下回るなか、巨額の投資計画に陰りが見え始めた。
販売鈍化が投資判断に影響
2024年の世界のEV販売台数は約1,000万台と見込まれるが、前年比の伸び率は20%未満と、2023年の35%から大きく減速する見通しだ。特に欧州では、補助金の縮小や充電インフラの整備遅れが需要の重石となっている。
フォルクスワーゲンは、スペインと東欧で計画していたバッテリー工場の建設を延期する方針を固めた。同社は2030年までに欧州で6つの工場を稼働させる計画だったが、需要の不透明感から投資の優先順位を見直す。
メーカー各社の対応
ステランティスも、北米と欧州でのバッテリー生産能力拡大計画を縮小する検討に入った。同社のカルロス・タバレスCEOは「市場の成長ペースに合わせて投資を調整する」と述べ、需要の実態に即した柔軟な戦略が必要だと強調した。
一方、テスラは2024年の販売台数が初めて前年割れする可能性が指摘されており、マスクCEOは「高金利が消費者の購買意欲を削いでいる」とコメントしている。
サプライチェーンへの波及
バッテリー投資の見直しは、部品メーカーや素材供給企業にも影響を及ぼしている。韓国のLGエナジーソリューションは、欧州の顧客からの受注減を受け、ポーランド工場の稼働率を引き下げた。また、中国の寧徳時代(CATL)も、ドイツ工場の生産開始を2025年に延期することを発表した。
業界団体の欧州自動車工業会(ACEA)は、EUの2035年ガソリン車新車販売禁止目標の達成には、充電インフラへの追加投資と消費者の購買インセンティブが不可欠だと指摘する。
長期的な展望
短期的な減速にもかかわらず、多くのアナリストは長期的にはEVシフトが続くと予測する。国際エネルギー機関(IEA)は、2030年までに世界のEV販売台数が4,000万台に達するとの見通しを維持している。しかし、当面は需要の変動に応じた柔軟な生産体制が求められそうだ。



