EVシフトの陰で進むエンジン技術の進化
電気自動車(EV)への移行が世界的に加速する中、内燃機関(エンジン)の技術も静かに、しかし確実に進化を遂げている。トヨタ自動車やマツダなど日本の自動車メーカーは、従来のエンジンを大幅に改良した次世代エンジンの開発を進めており、電動化との共存を目指す新たな戦略が注目を集めている。
トヨタの新エンジン戦略
トヨタは2024年5月、次世代エンジンの開発計画を発表した。同社は、水素エンジンやカーボンニュートラル燃料に対応したエンジンを、2026年までに市場投入する方針だ。トヨタの豊田章男会長は「エンジンは決して過去の技術ではない。環境性能を高めながら、内燃機関の可能性を追求する」と述べている。この新エンジンは、既存のエンジンと比べて熱効率が約10%向上し、CO2排出量を大幅に削減できるという。
マツダのロータリーエンジン復活
マツダは、独自のロータリーエンジンを復活させ、EVの航続距離を延ばすレンジエクステンダーとして採用する計画だ。マツダのCEOである毛籠勝弘氏は「ロータリーエンジンは小型・高出力という特性を活かし、電動車両の弱点を補完する」と説明する。同社は2025年までに、ロータリーエンジンを搭載したプラグインハイブリッド車を発売する予定で、これによりEVの航続距離を30%以上延ばせる見込みだ。
日産の可変圧縮比エンジン
日産自動車は、可変圧縮比エンジン「VCターボ」の改良を進めている。このエンジンは、圧縮比を連続的に変化させることで、燃費と出力を両立する。日産のエンジン開発責任者は「VCターボは、EVとハイブリッドの中間的な存在として、多様なニーズに応える」と語る。同社は2026年までに、このエンジンの熱効率を50%まで引き上げる目標を掲げている。
ホンダのe:HEV技術
ホンダは、ハイブリッドシステム「e:HEV」を進化させ、エンジンとモーターの協調制御を高度化している。ホンダの技術開発本部長は「エンジンは発電専用とし、モーターによる走行を主体とすることで、EVに近い走行感覚を実現する」と説明する。同社は2025年までに、e:HEV搭載車の燃費を現行比で20%改善する計画だ。
エンジン技術の未来
これらの動きは、EVシフトが進む中でも、エンジンが完全に消滅するわけではないことを示している。特に、カーボンニュートラル燃料や水素エンジンの実用化が進めば、エンジンは環境負荷の低い動力源として生き残る可能性がある。業界アナリストは「内燃機関の進化は、電動化と並行して進むべき重要な技術だ。多様なパワートレインの選択肢が、持続可能なモビリティ社会の実現に寄与する」と指摘する。



