イーロン・マスクの純資産が、テスラ株の急落により1日で約2兆円(約140億ドル)減少したことが明らかになった。ブルームバーグ・ビリオネア指数によると、マスク氏の資産はこの下落で約2,400億ドルとなり、世界長者番付の首位を維持しているものの、その差は縮まっている。
テスラ株急落の背景
テスラ株は10月19日の取引で9.3%下落し、1株あたり約220ドルとなった。この下落は、同社が前日に発表した第3四半期決算で、売上高は予想を上回ったものの、利益率が市場予想を下回ったことが主因だ。テスラの自動車粗利益率(リース除く)は18.7%と、前年の27.9%から急低下した。
また、マスク氏は決算発表後の電話会見で、金利上昇がEV需要に与える影響について「懸念している」と述べ、今後の生産計画についても慎重な姿勢を示した。これが投資家の不安をさらに強めた。
EV市場の減速感
世界的なEV需要の減速もテスラ株の重荷となっている。特に米国では、インフレと金利上昇により消費者の購買意欲が低下しており、高価格帯のEV販売に影響が出ている。テスラは今年初めに値下げを実施したが、需要刺激効果は限定的だった。
さらに、競合他社の台頭もテスラの市場シェアを脅かしている。フォードやゼネラル・モーターズなどの伝統的メーカーがEVラインアップを拡充しており、中国のBYDも低価格EVで存在感を高めている。
マスク氏の資産変動
マスク氏の資産は2021年11月に約3,400億ドルでピークを迎えた後、テスラ株の変動に応じて大きく上下している。同氏の資産の大部分はテスラ株と、未上場のスペースX株で構成されている。今回の減少で、マスク氏の資産は年初来で約300億ドル減少したことになる。
一方で、マスク氏は先月、テスラ株を大量に売却したと報じられており、そのタイミングが問題視されている。同氏は売却理由について「ツイッター買収に備えたもの」と説明しているが、一部の投資家からは批判の声が上がっている。
今後の見通し
アナリストの間では、テスラ株の先行きについて見方が分かれている。強気派は、テスラの長期的な成長性やサイバートラックなどの新製品に期待を寄せる一方、弱気派は競争激化と需要減速を理由に慎重な見方を示す。モルガン・スタンレーのアナリスト、アダム・ジョナス氏は「テスラは今、厳しい局面に直面している」と指摘する。
マスク氏の資産変動は、今後もテスラの業績と株価に左右されることになる。市場は、同社が利益率の改善と需要喚起に成功するかどうかを注視している。



