中国の電気自動車(EV)市場で、比亜迪(BYD)が販売台数で他社を大きく引き離し、一強時代を迎えている。2024年第1四半期のBYDの販売台数は前年同期比約13%増の約62万台に達した。これに対し、第2位の米テスラは約38万台で、その差は約24万台に拡大している。
政府補助金と技術力が強み
BYDの躍進を支えているのは、中国政府によるEV購入補助金や充電インフラ整備などの政策支援だ。また、同社は電池やモーターなどの主要部品を内製化しており、コスト競争力と技術力で優位に立っている。特に、同社独自のブレードバッテリーは安全性とエネルギー密度の高さで評価されている。
さらに、BYDは低価格帯から高級車まで幅広いラインアップをそろえ、消費者の多様なニーズに対応している。2023年には、高級ブランド「仰望(ヤンワン)」を立ち上げ、100万元(約2000万円)を超える超高級EV市場にも参入した。
競合他社の苦戦
一方、中国メーカーの蔚来汽車(NIO)や小鵬汽車(Xpeng)などは、販売台数でBYDに及ばず、業績不振に陥っている。蔚来汽車は2023年に約16万台を販売したが、赤字が続いており、人員削減や事業再編を進めている。
また、外資系メーカーも苦戦を強いられている。米テスラは上海工場で生産を拡大しているが、中国市場でのシェアは伸び悩んでいる。ドイツのフォルクスワーゲンは、中国でのEV販売が低迷し、提携先との協業強化を模索している。
今後の展望
中国EV市場は、BYDの一人勝ち状態が続く可能性が高い。しかし、中国政府がEV補助金を段階的に縮小していることや、競合他社が新モデルを投入していることから、競争はさらに激化するとみられる。
業界関係者は「BYDは技術力とコスト競争力で優位に立っているが、他社も追い上げてくるだろう。市場全体の成長が鈍化する中で、生き残りをかけた競争が繰り広げられる」と指摘している。



