中国EVメーカー、右ハンドル市場に照準 EU制裁逃れで香港から世界展開
中国EV、右ハンドル市場でEU制裁回避へ香港から世界展開

中国の自動車メーカーが、EUの制裁関税を回避する新たな戦略として、右ハンドル車市場への攻勢を強めている。香港を足がかりに、オーストラリアや東南アジアなど右ハンドル市場への輸出拡大を狙う。

香港市場で右ハンドルEVが急増

香港政府は2024年4月から2026年3月末までの期間、電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド車(PHV)の新車登録税を最大5万香港ドル(約100万円)以上削減した。この優遇措置により、中国製EVの販売が急増している。

BYDを代表とする中国EVメーカーは、同じ価格帯でもより高レベルの装備を提供することで市場シェアを急速に拡大。2025年には、極氪(ジーカー)、小鵬汽車(XPeng)、広汽埃安(アイオン)、上汽名爵(MG)などの中国EVブランドが香港市場の販売台数上位10位入りを果たした。

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一汽紅旗と東風汽車が新規参入

中国の国営自動車大手である一汽紅旗と東風汽車は、香港市場に新規参入した。一汽紅旗は香港車博会で右ハンドル仕様車3モデルを展示し、今後3年間で香港を拠点に世界の右ハンドル市場向けに少なくとも6車種の新エネルギー車を投入する計画を明らかにした。

東風汽車傘下で高級EVに特化した嵐図汽車(VOYAH)は、多目的車(MPV)「夢想家(Dreamer)」の右ハンドル仕様を2026年に世界市場で発売すると発表。まず香港市場で販売を開始する予定だ。

中国国内市場の縮小と輸出シフト

中国の業界団体である乗用車市場信息聯席分会の統計によると、2026年1~5月の中国国内の乗用車小売販売台数は前年同期比19.5%減の709万9000台となった。EVやPHVなどに対する販売助成措置の縮小が影響している。

一方、同期間の乗用車輸出台数は前年同期比68.1%増の337万3000台に達し、輸出に活路を見出す姿勢が鮮明になっている。EUが中国製EVに対する追加関税を検討する中、右ハンドル市場へのシフトは制裁回避の有効な手段として注目される。

今後の展望

中国メーカーの右ハンドル車攻勢は、香港だけでなく、オーストラリア、ニュージーランド、東南アジア諸国などへの波及が予想される。特にタイやインドネシアでは中国製EVの販売が伸びており、右ハンドル仕様の投入がさらなる市場拡大につながるとみられる。

(財新記者:余聡)

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