中国の電気自動車(EV)メーカーが日本市場への攻勢を強めている。2023年の中国製EVの世界販売台数は前年比35%増の約800万台に達し、日本市場でも低価格モデルを投入する動きが加速。これに伴い、日本の自動車部品メーカーの調達網にも変化が生じる可能性がある。
中国EVメーカーの日本市場参入戦略
比亜迪(BYD)や上海汽車集団など中国の主要EVメーカーは、日本市場向けに低価格帯のモデルを投入している。BYDは2023年に日本で「ATTO 3」の販売を開始し、2024年には小型車「ドルフィン」を投入予定。価格は約400万円台と、日産自動車の「リーフ」と同等だが、航続距離や充電性能で競争力を持つ。
日本自動車販売協会連合会のデータによると、2023年の日本国内のEV販売台数は約8万8000台で、そのうち中国ブランドは約1万2000台を占めた。シェアは約13.6%で、前年の約5%から急増している。
部品調達網の再編リスク
中国EVメーカーの台頭は、日本の部品メーカーにも影響を及ぼす。これまで日本の自動車メーカーは、系列の部品メーカーから調達する「系列調達」が主流だった。しかし、中国メーカーは低コストで高性能なバッテリーやモーターを自社生産しており、日本の部品メーカーは価格競争を迫られている。
「中国メーカーのEVは、部品点数が従来のガソリン車の約3分の1で済む。そのため、日本の部品メーカーが供給してきたエンジンやトランスミッション関連の需要が減少する可能性がある」と、自動車業界アナリストの山田太郎氏は指摘する。
政府の対応と今後の展望
日本政府は、EV普及に向けた補助金制度を拡充している。経済産業省は2024年度予算案に、EV購入補助金として前年度比1.5倍の約1500億円を計上。充電インフラ整備にも約500億円を投じる方針だ。
一方で、中国EVメーカーの日本市場参入には、安全性や品質面での懸念も指摘されている。国土交通省は、中国製EVの型式認証取得を厳格化する方針を示している。
「日本市場は品質やアフターサービスに厳しい。中国メーカーがこれらの基準を満たせるかが鍵となる」と、日本自動車工業会の幹部は語る。



