中国の電気自動車(EV)メーカー各社が、欧州連合(EU)による追加関税の導入を受け、東南アジアでの生産能力を急速に拡大している。EUが中国製EVに最大38%の追加関税を課す方針を打ち出したことで、中国メーカーは関税回避のため、東南アジアを生産拠点として活用する戦略を強化している。
BYD、タイで新工場稼働へ
中国最大手のEVメーカー、比亜迪(BYD)は、タイ東部ラヨーン県に建設中の工場を2024年内に稼働させる計画だ。この工場の年間生産能力は15万台で、東南アジア市場向けのEVを生産する。BYDはタイで既にEV販売でシェアを拡大しており、現地生産により関税コストを削減し、競争力を高める狙いがある。
吉利、インドネシアに生産拠点
浙江吉利控股集団(吉利)もインドネシアにEV工場を建設する計画を発表した。同社はインドネシア政府と協力し、2025年までに年間10万台の生産能力を持つ工場を完成させる予定だ。吉利の東南アジア進出は、EU市場向けの生産拠点としても機能し、関税回避の効果が期待される。
東南アジア全体でEVサプライチェーン再編
中国メーカーの東南アジア進出は、タイ、インドネシア、ベトナムなどでEV関連の投資を加速させている。タイ政府はEV生産奨励策を打ち出し、2030年までに新車販売の30%をEVにする目標を掲げる。インドネシアもニッケル資源を活用したバッテリー生産で優位に立ち、EVサプライチェーンのハブを目指す。
一方、EUの追加関税は中国メーカーの収益性に直接影響を与える。BYDの広報担当者は「当社は現地生産を通じて、世界中のお客様に高品質なEVを提供し続ける」と述べ、関税回避策としての生産拠点分散の重要性を強調した。
日本メーカーへの影響
中国メーカーの東南アジア生産拡大は、同地域で強みを持つ日本メーカーにも影響を及ぼす。トヨタ自動車やホンダはタイで長年生産拠点を構えてきたが、EVシフトで中国勢との競争が激化している。日本メーカーも東南アジアでのEV生産投資を加速せざるを得ず、市場の再編が進むとみられる。



