EVシフト加速、中国メーカーが席巻する東南アジア市場の現実
EVシフト加速、中国勢席巻の東南アジア市場

東南アジアの電気自動車(EV)市場で、中国メーカーの存在感が急速に高まっている。タイでは2024年上半期のEV販売台数の約8割を中国ブランドが占め、日本車メーカーが長年築いてきたガソリン車市場を脅かし始めている。

中国勢が席巻するタイEV市場

タイ自動車協会のデータによると、2024年1~6月のEV販売台数は約3万5000台で、前年同期比で約2倍に増加。このうち、中国の比亜迪(BYD)や長城汽車、上汽集団など中国メーカーが約2万8000台(約80%)を占めた。一方、日系メーカーのEV販売は数%にとどまり、トヨタや日産、ホンダなどは苦戦を強いられている。

BYDはタイで「ATTO 3」や「ドルフィン」などの人気モデルを投入し、2023年にはタイ国内のEV販売で首位に立った。同社はタイに生産工場を建設中で、2024年内の稼働を予定している。長城汽車もタイでEV生産を開始し、現地調達率を高める計画だ。

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日本車メーカーの苦境と戦略転換

日本車メーカーは長年、タイを東南アジアの生産拠点としてきたが、EVシフトで遅れを取っている。トヨタは2023年にEV「bZ4X」をタイで発売したが、販売台数は伸び悩んでいる。日産は「リーフ」を販売するが、価格競争で中国勢に劣る。ホンダは2024年にEV「e:N1」を投入予定だが、シェア拡大は容易ではない。

タイ政府は2030年までに新車販売の30%をEVにする目標を掲げ、購入補助金や減税措置を実施している。これが中国メーカーの低価格EVを後押しし、日本車メーカーにとっては逆風となっている。

東南アジア全域に広がる中国EV

タイだけでなく、インドネシアやマレーシアでも中国メーカーのEV販売が拡大している。インドネシアでは2023年のEV販売が前年比で約3倍に増加し、BYDや五菱汽車(Wuling)がシェアを伸ばした。マレーシアでもBYDが2023年に参入し、2024年上半期のEV販売でトップに立った。

中国メーカーの強みは価格競争力だ。BYDの「ドルフィン」はタイで約80万バーツ(約320万円)から購入でき、同クラスの日本車EVより100万円以上安い。また、中国メーカーはバッテリー技術やサプライチェーンで優位に立ち、現地生産によるコスト削減も進めている。

日本車メーカーの巻き返しは可能か

日本車メーカーは東南アジアでハイブリッド車(HV)に注力してきたが、EVシフトが加速する中で戦略の見直しを迫られている。トヨタはタイでHVの販売を強化する一方、2025年以降にEVの新モデルを投入する計画だ。ホンダも2025年にEV専用工場をタイに建設する方針を表明した。

しかし、中国メーカーが先行する中で、日本車メーカーがシェアを回復するには時間がかかると見られる。タイ自動車協会の関係者は「日本車メーカーはEVの価格とモデル展開で中国勢に遅れを取っており、巻き返しには数年かかるだろう」と指摘する。

今後の展望と日本への影響

東南アジアのEV市場は2025年以降さらに拡大し、中国メーカーのシェアはさらに高まると予想される。日本車メーカーがこの地域で存在感を維持するには、EVの価格競争力と現地生産の強化が不可欠だ。また、日本国内でもEVシフトが遅れており、中国メーカーの低価格EVが日本市場に流入する可能性もある。

経済産業省は2035年までに新車販売を全て電動車にする目標を掲げるが、日本車メーカーのEV戦略が遅れれば、国内市場でも中国勢にシェアを奪われる恐れがある。日本車メーカーは東南アジアでの苦戦を教訓に、EV戦略を加速させる必要がある。

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