中国の電気自動車(EV)用電池最大手である寧徳時代新能源科技(CATL)と比亜迪(BYD)が、日本市場でのプレゼンスを急速に高めている。両社は量産効果によるコスト競争力と技術革新を武器に、パナソニックホールディングスなど日本の電池メーカーに対抗する戦略を明確に打ち出している。
CATLとBYDの日本市場戦略
CATLは2023年、日本法人を設立し、トヨタ自動車や日産自動車、ホンダなど国内自動車メーカーとの協業を本格化させている。特にトヨタとの間では、2020年に合弁会社を設立し、EV用電池の開発と生産で協力している。また、BYDは2023年に日本市場に乗用EV「ATTO 3」を投入し、販売を開始。さらに、同社の電池子会社である弗迪電池(FinDreams Battery)が、日本国内で電池工場の建設を検討していると報じられている。
日本市場における中国電池メーカーの攻勢は、価格競争力の高さが大きな要因だ。CATLの電池は、パナソニックの製品と比較して、1キロワット時あたりのコストが約20%低いとされる。これは、中国国内での大規模な量産効果と、政府の補助金による支援が背景にある。
日本の電池メーカーへの影響
日本の電池メーカーは、技術力では依然として優位性を持つが、コスト競争力では中国勢に劣る。パナソニックはテスラ向けの電池生産に注力しており、日本市場でのシェアは低下傾向にある。また、GSユアサやエリーパワーなども、中国勢の攻勢に対抗するため、生産コストの削減や技術開発を急いでいる。
専門家は、日本市場における中国電池メーカーのシェアは、2025年までに30%を超える可能性があると指摘する。これは、日本の自動車メーカーがEVシフトを加速させていることに加え、中国勢のコスト競争力がさらに強化されると見込まれるためだ。
一方で、日本の電池メーカーは、全固体電池など次世代技術の開発で巻き返しを図る。パナソニックは、全固体電池の量産技術を2025年までに確立する目標を掲げており、トヨタも2027年以降の実用化を目指している。
市場の反応と今後の展望
日本の自動車メーカーは、中国電池メーカーの低コストな電池を積極的に採用することで、EVの価格を引き下げ、販売拡大につなげたい考えだ。しかし、地政学的リスクやサプライチェーンの多様化の観点から、日本政府は国内での電池生産能力の強化を支援する方針を示している。
経済産業省は、2023年に「蓄電池産業戦略」を策定し、2030年までに国内の電池生産能力を現在の約10倍となる150ギガワット時に引き上げる目標を掲げた。これにより、日本の電池メーカーは、中国勢に対抗するための生産基盤を強化することが期待される。
中国電池メーカーの日本市場への進出は、競争を促進し、結果的にEVの普及を加速させる可能性がある。しかし、日本の電池産業の競争力維持と、エネルギーの安全保障の観点から、バランスの取れた政策が求められる。



