中国の電気自動車(EV)大手、比亜迪(BYD)が2026年に日本で電気バスの販売を開始する方針を固めたことが、複数の関係者への取材で明らかになった。同社は既に日本でEV乗用車を販売しているが、商用車分野であるバス市場への本格参入により、日本市場での存在感をさらに高める狙いだ。
日本市場でのEVバス需要を見込む
BYDは日本で、路線バスや観光バス向けのEVバスを投入する計画だ。日本のバス事業者は、政府の補助金制度を活用してEVバスの導入を進めており、2030年までに国内の路線バスの約2割をEV化する目標が掲げられている。BYDはこうした需要を取り込むため、自社のバス製造拠点である中国から完成車を輸入する形で販売を開始する見通し。
同社はすでに、日本のバス事業者と実証実験を実施しており、技術面での信頼性を確認している。BYDジャパンの担当者は「日本の厳しい道路環境や気候条件でも安定して走行できる性能を備えている」とコメントしている。
競合との差別化と課題
日本のバス市場では、日野自動車やいすゞ自動車など国内メーカーがEVバスの開発を進めているが、量産化の時期は2024年以降としている。BYDはすでに中国などで大量生産の実績があり、コスト面で優位に立つ可能性がある。一方で、アフターサービスや部品供給の体制整備が課題となる。
BYDは2023年に日本法人を設立し、乗用車の販売を開始。2024年には「ATTO 3」や「ドルフィン」などのモデルを投入し、2025年までに全国に100店舗以上の販売網を構築する計画だ。バス事業では、販売後のメンテナンス体制を整えるため、日本国内の整備工場との提携を進めている。
政府目標と市場の成長性
日本政府は2021年に策定した「グリーン成長戦略」で、2035年までに乗用車の新車販売を全て電動車にする目標を掲げる。バスなどの商用車についても、2030年までにEVの普及を促進する方針だ。東京都は2024年までに都内の路線バスを全てEV化する目標を掲げており、他の自治体も追随する動きを見せる。
市場調査会社の富士経済によると、日本のEVバス市場は2023年に約200台だったが、2030年には年間約5,000台に拡大する見通し。BYDはこの成長市場でシェアを獲得すべく、早期の販売開始を決断したとみられる。
中国企業の日本進出の一環
BYDの日本進出は、中国企業による日本市場への攻勢の一環でもある。中国のEVメーカーは、国内市場の競争激化に伴い、海外市場での販売拡大を急いでいる。日本は品質やサービスへの要求が厳しい市場として知られるが、BYDは乗用車販売で一定の手応えを得ており、バス事業でも成功を目指す。
業界関係者は「BYDの参入により、日本のバス市場での競争が加速し、価格低下や技術革新が進む可能性がある」と指摘する。一方で、地場メーカーとの協業や、日本独自の規格への対応など、乗り越えるべきハードルも多い。



