電気自動車(EV)の普及に伴い、バッテリー技術の重要性が増している。2023年の世界のEV用リチウムイオン電池市場において、中国メーカーのシェアは約60%に達した。これは、中国がEVバッテリーの生産と技術開発で世界をリードしていることを示している。
中国メーカーの躍進
中国の大手バッテリーメーカーであるCATL(当代安培科技)とBYD(比亜迪)が市場を牽引している。CATLは世界シェア約37%でトップ、BYDは約16%で2位につけている。両社は高エネルギー密度や低コストのバッテリーを供給し、テスラやフォルクスワーゲンなど世界の自動車メーカーに採用されている。
一方、日本のパナソニックは世界シェア約8%で4位、韓国のLGエナジーソリューションは約14%で3位となっている。日本勢のシェアは低下傾向にあり、競争力の維持が課題だ。
技術革新の源泉
中国メーカーの強みは、政府の強力な支援と大規模な生産能力にある。中国政府はEVとバッテリー産業を国家戦略として位置づけ、補助金や税制優遇を提供してきた。また、リチウムやコバルトなど重要資源の確保にも積極的で、サプライチェーン全体を掌握している。
さらに、リン酸鉄リチウム(LFP)バッテリーの普及も中国メーカーの競争力を高めている。LFPバッテリーはニッケル・マンガン・コバルト(NMC)バッテリーに比べてエネルギー密度は低いが、安全性とコスト面で優れており、中国メーカーはこの分野で先行している。
日本と欧州の対応
日本政府は、2030年までに国内のバッテリー生産能力を100GWhに引き上げる目標を掲げている。トヨタ自動車や日産自動車などは、自社でバッテリー生産を強化する方針だ。しかし、中国メーカーの規模と技術力に対抗するのは容易ではない。
欧州でも、バッテリーの域内生産を推進する動きがある。スウェーデンのノースボルトやドイツのフォルクスワーゲンがバッテリー工場を建設中だが、中国メーカーの進出も相次いでいる。CATLはドイツに工場を建設し、欧州市場への供給を強化している。
今後の展望
EV市場の拡大に伴い、バッテリー需要は今後も急増すると予想される。国際エネルギー機関(IEA)の予測によると、2030年には世界のEVバッテリー需要は2022年の約10倍に達する見通しだ。中国メーカーはこの需要を取り込むべく、さらなる生産能力拡大を計画している。
一方で、中国依存のリスクも指摘されている。地政学的な緊張や資源の偏在が供給を不安定にする可能性がある。日本や欧州は、技術革新やリサイクル技術の開発を通じて、自立したサプライチェーンを構築する必要がある。



