2025年、欧州の電気自動車(EV)市場で中国メーカーの存在感が急速に高まっている。調査会社によると、2024年の中国ブランドのEV販売シェアは欧州全体で約18%に達し、2025年には20%を超える見通しだ。一方、日本メーカーのシェアは5%に満たず、苦戦が続いている。
中国勢の躍進:低価格と高性能で攻勢
中国のBYD(比亜迪)は、2024年に欧州で15万台以上のEVを販売し、前年比で倍増。同社の「ATTO 3」は、3万ユーロを切る価格帯で航続距離420kmを実現し、欧州の消費者から高い評価を得ている。また、上海汽車グループ傘下のMG(旧MGローバー)も、英国やフランスで販売を伸ばしており、2024年の欧州販売台数は10万台を超えた。
これらの中国メーカーは、電池や半導体などのサプライチェーンを自社で抱えることで、コスト競争力を強化。さらに、欧州の厳しい排ガス規制に対応したモデルを迅速に投入している。
日本メーカーの苦戦:戦略の遅れが顕著に
一方、トヨタや日産、ホンダなど日本メーカーは、欧州でのEV販売で苦戦している。トヨタの2024年の欧州EV販売台数は約2万台にとどまり、市場シェアは1%未満。日産も「アリア」を投入したが、販売は伸び悩んでいる。ホンダは欧州でのEV販売を事実上停止している。
日本の自動車アナリスト、田中一郎氏は「日本メーカーはハイブリッド車に注力しすぎた。欧州ではEVシフトが加速しており、戦略の見直しが必要だ」と指摘する。
欧州メーカーの対応:関税引き上げで防衛
欧州連合(EU)は、中国製EVに対する関税を引き上げる方針を固めた。現在の10%から25%への引き上げが検討されており、中国メーカーの価格優位性を弱める狙いがある。EUの報道官は「公正な競争環境を確保するため、必要な措置を取る」と述べている。
しかし、中国メーカーは欧州内での生産拠点の設立を進めており、関税引き上げの影響を回避しようとしている。BYDはハンガリーに工場を建設中で、2026年から年間20万台のEVを生産する計画だ。MGもスペインでの生産を検討している。
今後の展望:競争激化と市場の再編
欧州EV市場は、中国勢の攻勢により競争が激化している。国際エネルギー機関(IEA)の予測によると、2030年までに欧州の新車販売の50%以上がEVになるとされ、中国メーカーのシェアは30%を超える可能性がある。
日本メーカーは、2026年以降に新型EVを投入する計画を発表しているが、巻き返しには時間がかかるとみられる。日本自動車工業会の鈴木俊一会長は「EVだけでなく、水素や合成燃料など多様な選択肢を模索する必要がある」と述べている。



