中国の電気自動車(EV)大手BYD(比亜迪)は、2025年までに日本市場に3車種を投入し、販売店網を現在の約20店舗から100店舗に拡大する方針を明らかにした。日本でのEV普及が遅れる中、BYDは価格競争力と豊富な車種ラインナップで攻勢をかける。
BYDの日本戦略:3車種投入と販売網拡大
BYDの日本法人であるBYD Japanは、2025年までにコンパクトカー、ミニバン、SUVの3車種を投入すると発表した。2023年に発売した小型EV「ドルフィン」に加え、より幅広いニーズに対応する。販売店舗数も現在の22店舗から2025年末までに100店舗に増やし、主要都市圏を中心にカバレッジを拡大する。
BYD Japanの東福寺厚樹社長は、「日本市場はEV普及のポテンシャルが大きい。私たちの強みである技術力とコスト競争力で、日本のお客様に魅力的な選択肢を提供したい」と述べた。BYDは自社でバッテリーや半導体を内製化しており、競合他社に比べてコストを抑えられる。
日本市場の現状とBYDの挑戦
日本のEV販売は伸び悩んでいる。2023年の新車販売に占めるEVの割合は約2%で、欧州(約15%)や中国(約25%)に大きく劣る。充電インフラの不足や価格の高さが課題だ。BYDの「ドルフィン」は価格を約363万円とし、政府の補助金を活用すれば300万円台前半で購入可能。これは日産「リーフ」やテスラ「モデル3」より安い。
しかし、日本市場ではハイブリッド車(HV)の人気が根強く、トヨタ自動車がHVで強いシェアを持つ。BYDはEV専業メーカーとして、HVではなくEVの魅力を訴求する必要がある。また、アフターサービスやブランド認知度の向上も課題だ。
競合他社の動きと市場への影響
BYDの攻勢に対し、日本の自動車メーカーもEV投入を加速している。トヨタは2026年までに10車種のEVを投入する計画で、日産は2026年度までにEV販売比率を20%に引き上げる目標を掲げる。ホンダも2024年に新型EVを発売予定だ。
業界関係者は「BYDの低価格戦略は、日本市場に価格破壊をもたらす可能性がある。消費者にとって選択肢が増える一方、国内メーカーは競争激化で収益圧迫を受ける恐れがある」と指摘する。
今後の見通し
BYDは日本での販売目標を2025年に年間3万台と設定している。これは日本全体のEV販売台数の約1割に相当する。充電インフラ整備や消費者のEVへの関心向上が鍵となる。
経済産業省は2035年までに新車販売を全て電動車(EV、HV、PHV、FCV)にする目標を掲げるが、EV普及にはまだ時間がかかるとみられる。BYDの攻勢が日本市場にどのような変化をもたらすか、注目が集まる。



