中国の電気自動車(EV)最大手である比亜迪(BYD)は、2027年までに欧州に第2の工場を建設する計画を明らかにした。同社は現在、ハンガリーに欧州初の工場を建設中であり、2025年末の稼働を予定している。今回の新工場建設は、欧州委員会が中国製EVに対して最大45%の追加関税を課す方針を示したことを受けた対応の一環とみられる。
欧州市場での現地生産拡大
BYDの欧州事業責任者であるマイケル・シュー氏は、ロイター通信の取材に対し、「当社は欧州での存在感を強化するために、第2工場の建設を積極的に検討している」と述べた。同氏は具体的な建設地や投資額については明らかにしなかったが、「2027年までに稼働を開始したい」と目標を示した。BYDは既にハンガリー南部のセゲドに工場を建設中で、年間20万台の生産能力を持つ予定だ。
欧州委員会は中国製EVに対する調査を進めており、補助金を受けた中国メーカーが不当に安価なEVを輸出していると主張している。これに対し、BYDを含む中国メーカーは現地生産を増やすことで関税を回避しようとしている。
BYDのグローバル戦略
BYDは2023年に世界で約300万台のEVを販売し、中国市場に加えて東南アジアや南米など新興市場でもシェアを拡大している。欧州では現在、ATTO 3やSEALなどのモデルを販売しており、2023年の販売台数は約1万5000台とまだ小規模だが、2025年までに年間10万台の販売を目指している。
同社はまた、欧州での販売網の拡充にも注力しており、2025年末までに販売店を現在の約200店舗から500店舗に増やす計画だ。さらに、欧州向けの車種開発も進めており、現地のニーズに合わせたモデル投入を検討している。
欧州自動車産業への影響
BYDの欧州進出は、伝統的な欧州自動車メーカーにとって脅威となっている。フォルクスワーゲンやステランティスなどは、中国市場での販売低迷に直面しており、BYDの低価格EVが欧州市場でシェアを奪う可能性がある。欧州委員会の追加関税は、こうした欧州メーカーを保護する目的もあるが、中国側は報復措置を検討していると報じられている。
BYDのシュー氏は「関税は最終的に消費者に転嫁される。当社は競争力のある価格を維持するため、現地生産を拡大する」と強調した。同社の第2工場建設は、欧州のEV市場における競争をさらに激化させることになりそうだ。



