電気自動車(EV)の普及に伴い、車載用電池の市場が急拡大している。その中で、中国の電池メーカーが圧倒的な存在感を示している。2023年の世界市場シェアでは、中国のCATL(寧徳時代新能源科技)が約37%でトップ、同じく中国のBYDが約16%で2位につけており、両社で過半数のシェアを占める。日本勢はパナソニックが約8%で4位、日産自動車などが系列に持つエンビジョンAESCもシェアを伸ばしているが、中国勢の勢いには及ばない。
中国電池メーカーの強み:技術とコスト
中国メーカーの強みは、技術革新とコスト競争力にある。CATLはリン酸鉄リチウムイオン電池(LFP)で高いエネルギー密度を実現し、航続距離を伸ばしながら安全性も向上させた。また、生産工程の自動化や規模の経済により、製造コストを他社比で2~3割低く抑えている。BYDは自社開発の「ブレードバッテリー」を採用し、電池パックの体積効率を高めることで、EVの航続距離を大幅に伸ばしている。
世界市場でのシェア拡大と日本勢の課題
中国メーカーのシェア拡大は、欧米やアジアの自動車メーカーへの供給契約を次々と獲得していることに表れている。CATLはテスラ、BMW、メルセデス・ベンツなどに電池を供給し、BYDも自社ブランドのEVだけでなく、トヨタ自動車との合弁事業で電池を供給している。一方、日本の電池メーカーは、高い品質と信頼性を強みとするが、コスト競争力では中国勢に劣る。パナソニックはテスラ向けに高エネルギー密度の円筒形電池を供給しているが、生産能力の拡大が課題となっている。
技術革新の最新動向:全固体電池とナトリウムイオン電池
次世代電池の開発でも中国勢は先行している。CATLは2023年にナトリウムイオン電池の量産を開始し、資源制約の少ないナトリウムを使うことで低コスト化を実現。また、全固体電池の開発でも、2024年までに量産技術を確立する目標を掲げている。日本でもトヨタやパナソニックが全固体電池の開発を進めているが、量産化のめどは立っていない。専門家は「中国は電池の材料から製造装置までサプライチェーン全体を掌握しており、技術面でも優位に立っている」と指摘する。
日本企業の巻き返しは可能か
日本勢が巻き返すには、差別化技術の開発と生産能力の拡大が急務だ。パナソニックは2024年度までに円筒形電池の生産能力を現在の2倍に引き上げる計画。また、トヨタは全固体電池の実用化を2027~28年に前倒しする方針を打ち出している。しかし、中国勢の投資規模は桁違いで、CATLの2023年の研究開発費は約1500億円と、日本の電池メーカー各社を大きく上回る。自動車産業のEVシフトが加速する中、電池の調達競争はさらに激化しそうだ。



