中国の電気自動車(EV)最大手、比亜迪(BYD)は2025年に航続距離が1000キロメートルを超える新型EVを市場に投入する計画を明らかにした。同社の第2世代となる「ブレードバッテリー」を搭載し、現行の最量販モデル「海豹(シール)」比で20%以上の航続距離延伸を実現する見通し。
第2世代ブレードバッテリーの革新
BYDの幹部によると、新バッテリーはエネルギー密度が現行比で約25%向上し、セルからパックへの体積効率も改善。これにより、同サイズのバッテリーパックでより多くの電力を蓄えられるようになった。BYDは既に第1世代ブレードバッテリーを自社EV全モデルに搭載しており、安全性とコスト競争力で定評がある。
新型バッテリーはリン酸鉄リチウム(LFP)系をベースに、電極材料とセル構造を最適化。BYDのバッテリー子会社、弗迪電池(FinDreams Battery)が生産を担当する。同社は2024年後半から量産を開始し、2025年前半には新型EVへの搭載を目指す。
1000km超えを実現する車種
航続1000km超えを達成するのは、セダンタイプの「漢(ハン)」の次期型か、あるいは新型SUVになるとの観測がある。BYDは現在、航続距離715kmの「漢EV」を販売しており、1000km超えは中国市場で最長クラスとなる。
中国では近年、航続距離競争が激化しており、寧徳時代新能源科技(CATL)や吉利汽車なども1000km超えのバッテリー技術を発表。BYDの新型車投入は、この競争をさらに加速させる要因となる。
中国EV市場への影響
BYDは2023年に世界で約300万台のEVを販売し、中国市場シェアは30%を超える。航続距離の大幅な延伸は、特に長距離移動を重視する消費者層の取り込みに寄与するとみられる。また、2025年には中国のEV補助金が完全に終了する見通しで、航続距離と価格のバランスが競争力を左右する。
アナリストは「1000km超えはガソリン車に匹敵する航続距離であり、EV普及の大きな障壁の一つを除去する」と指摘。一方で、バッテリーコストの上昇が車両価格にどの程度影響するかが焦点となる。
グローバル戦略と輸出
BYDは中国国内だけでなく、欧州や東南アジア、日本など海外市場にも積極的に進出している。航続1000km超えの新型EVは、特に欧州市場での競争力を高める可能性がある。同社は2024年にハンガリーに工場を建設する計画を発表しており、現地生産によるコスト削減も視野に入れる。
BYDの広報担当者は「当社の技術革新は決して止まらない。新型EVは『技術で世界を変える』というミッションの象徴となる」とコメント。2025年の投入に向け、開発は最終段階に入っている。



