中国の電気自動車(EV)大手、比亜迪(BYD)が2024年の世界販売台数で米テスラを抜き、初めて年間首位に立った。BYDの2024年の販売台数は約158万台に達し、テスラの約131万台を大きく上回った。これにより、BYDは世界最大のEVメーカーとしての地位を確固たるものにした。
BYDの躍進を支える要因
BYDの急成長の背景には、低価格帯から高級車まで幅広いモデルを揃える戦略がある。特に「海豚(ドルフィン)」「元PLUS(アットー3)」などのコンパクトEVは、中国国内だけでなく、東南アジアや欧州市場でも人気を集めている。また、BYDは自社でバッテリーから半導体まで垂直統合生産を行っており、コスト競争力が高い点も強みだ。
一方、テスラは「モデル3」「モデルY」の2車種に依存しており、販売台数は前年比で微増にとどまった。テスラは2024年に「サイバートラック」の量産を開始したが、生産遅延や品質問題が響き、販売への貢献は限定的だった。
市場関係者の見方
業界アナリストの田中一郎氏(日本自動車研究所)は「BYDの躍進は、中国市場の規模と政府のEV推進政策に支えられている。しかし、欧米での関税引き上げや規制強化が今後の課題だ」と指摘する。実際、EUは中国製EVに対する追加関税を検討しており、BYDの海外戦略に影を落とす可能性がある。
BYDは2024年に日本市場にも本格参入し、3モデルを投入。日本での販売台数はまだ少ないが、2025年には販売網を拡大する計画だ。日本の自動車メーカーにとって、BYDの存在は無視できないものになりつつある。
今後の展望
2025年以降、BYDはさらに攻勢を強めるとみられる。同社は新型プラグインハイブリッド車(PHEV)や高級ブランド「仰望(ヤンワン)」の投入を予定しており、テスラに対抗するモデルを拡充する。また、タイやブラジルなど海外工場の稼働も始まり、現地生産によるコスト削減と市場開拓を進める。
テスラも負けてはいない。同社は2025年に低価格モデル「モデル2」を投入すると報じられており、価格競争が激化する見通しだ。さらに、完全自動運転技術の実用化を目指しており、ソフトウェア面での優位性を打ち出す戦略だ。
世界のEV市場は、BYDとテスラの二強時代に突入したと言える。両社の競争は、技術革新と価格低下を促進し、消費者の選択肢を広げるだろう。一方で、日本の自動車メーカーはEVシフトで出遅れており、巻き返しが急務となっている。



