中国の電気自動車(EV)大手BYD(比亜迪)が日本市場で急速に存在感を高めている。2024年の日本国内での販売台数は前年の約2.5倍となる約2万台に達する見通しだ。これは、日本自動車販売協会連合会の統計によると、日本全体のEV販売台数(約8万5千台)のうち約2割以上を占めることになる。
新型車投入と価格戦略が奏功
BYDは2023年に日本市場に本格参入し、当初は小型EV「ドルフィン」とSUV「ATTO 3」の2車種を投入した。2024年にはセダン「シール」を追加し、ラインアップを拡充。価格面では、ドルフィンを約363万円からと、競合する日産「リーフ」やテスラ「モデル3」よりも低価格に設定し、コストパフォーマンスの高さをアピールしている。
BYDジャパンの担当者は「日本のお客様にEVの魅力をより身近に感じていただくため、積極的な価格設定と販売網の拡大を進めている」とコメント。2024年末までに全国の販売店舗を100店舗以上に増やす計画で、現在は約70店舗で展開中だ。
日本市場のEVシフトに影響
BYDの攻勢は、日本市場のEVシフトに大きな影響を与える可能性がある。日本政府は2035年までに新車販売を全て電動車とする目標を掲げているが、2024年の日本国内のEV販売比率は約2%と低迷している。トヨタやホンダなど国内メーカーはハイブリッド車(HV)に注力しており、EVへの本格移行は遅れている。
自動車業界アナリストの山田太郎氏(仮名)は「BYDの低価格戦略は、日本メーカーにEV開発の加速を迫るだろう。特に、価格競争力で劣る国内メーカーは、差別化戦略を模索せざるを得ない」と指摘する。
充電インフラの整備が鍵
BYDの販売拡大には、充電インフラの整備が課題となる。日本では急速充電器の設置数が約3万基と、EV普及先進国の中国(約200万基)や欧州に比べて大幅に少ない。BYDは自社で充電ネットワークを構築する計画はなく、既存のインフラに依存する方針だ。
経済産業省は2024年度から、高速道路のサービスエリアなどに急速充電器を集中的に設置する補助金制度を拡充する予定。これにより、2025年度末までに急速充電器の数を約4万基に増やす目標を掲げている。
今後の展望
BYDは日本市場でのシェア拡大を目指し、2025年にはさらに新型車を投入する計画。また、ソフトウェアのアップデートによる機能向上や、バッテリーの長寿命化技術「ブレードバッテリー」の安全性を訴求することで、日本消費者の信頼獲得を狙う。
日本メーカーも対抗策を打ち出している。日産は2025年に新型EV「サクラ」の後継モデルを投入予定で、トヨタも2026年までにEV専用プラットフォームを採用した量販モデルを発売する計画だ。BYDの攻勢が日本市場のEV競争を激化させ、消費者の選択肢を広げることは間違いない。



