電気自動車(BEV)の購入を左右する最大の要因は年収ではなく、自宅での充電環境であることが、インテージの自動車アナリスト・三浦太郎氏の統計モデル分析で明らかになった。6つのペルソナに基づく推計によると、戸建て住宅で太陽光発電を備えたエコ志向シニア層のBEV購入率は8.8%と最も高く、一方、マンション住まいの高年収層(世帯年収1200万円以上)でも2.0%にとどまる。
マンション住まいの9割が充電設備なし
調査では、マンション住まいの新車購入者の約9割が「駐車場に充電設備がない」と回答。一方、戸建て住まいでは約5割が100V以上のコンセントを備え、約1割が200Vを設置済みだ。この充電環境の差がBEV普及の大きなボトルネックになっていると三浦氏は指摘する。
充電設備があれば購入率3.6倍に
補足分析として、マンション住まいで先進的、世帯年収1200万円以上の層(ペルソナC)を、駐車場の充電設備有無で分けてBEV購入率を比較した。200Vコンセントがある場合、購入率は1.9%から7.0%に跳ね上がる。三浦氏は「ペルソナCはBEVに興味がないというより、充電環境が制約になっている人が一定数存在する」と分析する。
太陽光パネルがBEV購入の「最後の一押し」に
ペルソナB(エコ志向シニア)の購入率8.8%は、ペルソナC(2.0%)やペルソナD(地方戸建てファミリー、2.0%)を大きく上回る。Bは60代以上、世帯年収500万〜800万円と富裕層ではないが、「戸建て×太陽光発電あり」という条件がBEV購入確率を押し上げている。太陽光発電のある家庭では、BEVが「自家発電した電気の貯蔵庫」となり、日中に余剰電力で充電し、夜間や停電時に車から家庭に電力を戻すV2H(Vehicle to Home)が可能になる。これによりエネルギーの自給自足的な生活が実現する。
ペルソナDが2.0%にとどまる理由もここにある。戸建てで充電環境を整えられるにもかかわらず動機が弱いが、太陽光パネルを設置すれば、ペルソナBのように充電コストを抑えられる経済合理性が生まれ、BEVへの動機が一変する可能性がある。
BEV普及のカギは充電環境
三浦氏は「BEV普及のカギは『駐車場にコンセントが付くか』が大きい。意識改革でBEVが売れるのではなく、充電できる環境を整えれば、意識が高い層から順に動く」と結論づける。ハイブリッド大国の日本でBEVが停滞気味な中、今後の普及率向上は、どれだけ多くの人が自宅で充電できる環境を持てるかにかかっている。



