AI時代もマーケ実務は「社内調整が9割」、デジタルマーケのプロが指摘する3つの理由
AI時代もマーケ実務は社内調整が9割、プロが指摘する3つの理由

デジタルマーケティングの実務では、AIがどれだけ普及しても社内調整が9割を占める。WACUL代表取締役の垣内勇威氏がそう言い切る理由として、上司や自部門への調整が必要となる3つのケースを挙げている。

上司との「解像度」ギャップが生む調整コスト

第2に、上司への社内調整が必要なケースだ。上司は広範囲のテーマに向き合っており、各テーマに対して浅い知識しか持ち合わせていないため、配下のメンバーは「解像度」のギャップを埋めることに苦労する。

上司の視点をたとえるとすれば、目の悪い人が、裸眼で遠くのショーウィンドウから何かを買うようなイメージだ。よほどセンスが良い人でもない限り、何となく目立っている大きくて派手なものを買うか、判断できないので何も買わないかのどちらかになる。

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デジタルマーケティングでいえば、裸眼で買い物ができる豪胆な上司は、流行りのバズワードに飛びついて大けがをする。こうした上司の多くは自信家で、自分や自社が世間一般とは異なる特殊な存在であるという尊大な考えを持っている。世の中的に「正解」だとわかっている施策よりも、前人未踏のにぎやかし施策を好み、配下のメンバーが地味な「正解」を提案しても黙殺してしまう。

逆に、裸眼では買い物ができない臆病な上司は、何も意思決定できないまま静かに退場していく。配下のメンバーからすれば「正解」だと確信している施策でも、上司からすれば投資対効果をイメージできず、万が一の責任を取りたくない営みに見えるのだ。

投資判断と経営層への説明が不可欠に

デジタルマーケティングの施策は、広告・システム・人材など多額の投資を要するものが少なくないため、どうしても上司や経営者の意思決定をくぐらざるを得ない。また2026年現在において、デジタル活用は中期経営計画のトピックにも入ることが多いため、上司や経営者の関心事になりやすく、丁寧な説明が不可欠だ。

自部門内に潜む「思い込み」の壁

第3に、自部門への社内調整が必要なケースだ。同じ部門の同僚なら、同じミッション・KPIを追っているため、普通ならきわめて具体的なレベルでの社内調整しか発生しないはずだ。例えば、Web広告のバナーを赤と青のどちらにするかといった、もはや好みの問題と言っても差し支えないようなレベルで、自分の意見を通したいときは、自部門内でもわずかな社内調整が発生するだろう。

しかし本当に問題なのは、自部門内にもかかわらず、アサッテの方向を向いているメンバーが多数派を占めているケースだ。特にデジタルマーケティングの分野では、長らくリアルな顧客と対峙していない場合、思い込みの「自社らしさ」や「ブランド感」に固執して、「正解」を受け入れようとしないことがよくある。

このように、社内調整を軽んじてしまえば、どんな戦略も実現できないというのが、デジタルマーケティングの実務における現実だ。

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