南アフリカではデータセンターの建設が急速に進み、アフリカ最大のデジタル拠点としての地位を固めつつある。しかし、これらの施設が必要とする大量の電力や水が、既に深刻化している資源不足をさらに悪化させるのではないかとの懸念も強まっている。
データセンター急増の背景
ラマポーザ大統領は今月、データセンターの増加について、国家安全保障や企業活動にとって不可欠だと高く評価する一方、発展には人権や環境への配慮が欠かせないとの認識を示した。南アフリカは国際海底ケーブルとの接続を含む高度なデジタルインフラを備え、アフリカ大陸のデータセンターの70%が同国に集中。クラウドコンピューティングや人工知能(AI)を支えるサーバー群の拠点となっている。
マイクロソフトやアマゾン・ドット・コムなどの米IT大手も、南アでのクラウド・AI関連インフラに数十億ドル規模の投資を約束。米調査会社アリズトン・アドバイザリー・アンド・インテリジェンスが3月にまとめた報告書によると、同国のデータセンター市場は2031年までに現在の2倍超となる50億ドル規模へ拡大する見通しだ。
資源消費への懸念
データセンターはサーバー稼働に大量の電力を消費し、冷却用に多くの水を必要とする。小規模でも数千世帯分の電力と1日数十万リットルの水を消費する場合がある。南アでは気候変動による干ばつや老朽化した電力網の影響で、水や電力の供給不足が問題となっており、データセンターの拡大が課題を悪化させる可能性が指摘されている。
米国との違い
ヨハネスブルクの工業地帯にある南ア最大のデータセンター事業者テラコ・データ・エンバイロメンツの施設では、光沢のある金属パイプや色とりどりのケーブルが張り巡らされ、サーバーラックが整然と並ぶ。テラコのサステナビリティー責任者ブライス・アラン氏は、南アのデータセンターは世界の大型施設に比べて規模が小さく、AIモデルの学習を主目的としていないため、資源消費の大きい技術を必要としていないと説明する。
アラン氏は、米国のテキサス州やカリフォルニア州などで住民による反対運動が起きている状況とは大きく異なると指摘。「米国ではAIブームによってギガワット(GW)級の巨大プロジェクトが次々と発表され、蒸発冷却方式による膨大な水使用が問題になっている。AIが南アに進出すると聞くと、多くの人が米国の例をそのまま当てはめて考えてしまう」と語った。
蒸発冷却方式では常に新しい水を供給する必要があるが、テラコは水を循環利用する「閉ループ冷却システム」を採用。アラン氏によれば「30メガワット(MW)規模のデータセンターが閉ループ冷却システムを利用した場合、年間の水使用量は平均的なレストラン1店舗と同程度にとどまる」という。
また米国には数千のデータセンターがあり合計約17GWの電力容量があるのに対し、南ア国内には50カ所以上のデータセンターが存在するものの、その総容量は350MWに過ぎず、世界全体の1%未満にとどまる。



