世界的なEVシフトが加速する中、中国では水素燃料電池車(FCV)への注目が急速に高まっている。中国政府は2025年までにFCVを5万台普及させる目標を掲げ、補助金やインフラ整備を積極的に進めている。これにより、中国はFCV市場で世界をリードする可能性が指摘されている。
中国政府の強力な後押し
中国では、水素エネルギーを国家戦略の重要分野に位置づけ、2020年から2023年にかけて水素関連の特許出願数が世界最多となった。また、2022年には水素産業発展のための中期計画(2021-2035年)を発表し、水素製造から貯蔵、輸送、利用までのサプライチェーン全体の構築を目指している。
補助金政策も充実しており、FCVの購入に対しては最大で1台あたり100万円以上の補助金が支給されるケースもある。さらに、水素ステーションの建設にも補助金が出され、2023年末時点で約300カ所が稼働している。
企業の参入と技術開発
中国の自動車メーカーや部品メーカーもFCV開発に積極的だ。例えば、上海汽車(SAIC)は自社開発のFCVシステムを搭載した商用車の量産を開始し、2025年までに年間1万台の生産を計画している。また、燃料電池スタックの国産化も進み、コスト低減に貢献している。
「中国の水素燃料電池技術は、5年前と比べて大幅に進歩した。特に耐久性と出力密度で改善が見られる」と、中国清華大学の水素エネルギー研究センター所長は述べている。
課題と今後の展望
一方で、水素の製造コストの高さや、水素ステーションの整備不足といった課題も残る。現在、中国で生産される水素の約80%は化石燃料由来であり、グリーン水素の割合はまだ低い。しかし、再生可能エネルギーからの水素製造プロジェクトが各地で進んでおり、2030年までにグリーン水素のコストが競争力を持つようになると期待されている。
中国のFCV市場規模は、2023年に約1兆円と推定され、2030年には5兆円を超えるとの予測もある。EVと並ぶ次世代自動車の柱として、水素燃料電池車の存在感は今後さらに高まりそうだ。



