国内有数のAIイベントとして定着している「AIフェスティバル」の4回目となる「AIフェスティバル 2026 Powered by THIRDWAVE」が、2026年11月7日にベルサール渋谷ファーストで開催される。主催はPCショップ「ドスパラ」を運営するサードウェーブ。同社社長兼COOの永井正樹氏に開催の狙いを聞いた。
AIアートから始まった構想の原点
サードウェーブがAIフェスティバルを開催するきっかけは、2023年3月に開催された「第一回AIアートグランプリ」への協賛だったという。永井氏は「第一回AIアートグランプリの開催後、AIの進化は早いので、第二回を半年後ぐらいに開催したいといった話がありました。そこで、AIアートグランプリに協賛するだけではなく、もっと多くの人にいろいろなAIに触れてもらう場を作りたいという考えのもと、AIアートグランプリに合わせて開催することになりました」と語る。
サードウェーブは以前よりeスポーツに力を入れており、2018年に「LFS池袋esports Arena」を開設。現在は高校生対象の「NASEF JAPAN 全日本高校eスポーツ選手権」への特別協賛を継続している。AIフェスティバルへの取り組みも、eスポーツと同様に、AIアートグランプリの盛り上がりやAIの進化に触れる中で、AIを使って作り上げた成果物を多くの人に見て、触れて、楽しんでもらうことがAIクリエイターのチャレンジや成長に繋がる土台になるとの想いから始まった。
渋谷へ移転し、AIクリエイターズマーケットを拡大
今回は開催場所が秋葉原から渋谷の「ベルサール渋谷ファースト」に移る。昨年好評だった「AIクリエイターズマーケット」を3倍以上の100ブース規模に拡大するためだ。永井氏は「そもそもは、”AIでもコミケみたいなことができたら盛り上がるんじゃないの?”というアイデアでしたが、実際にやってみたら面白いものがたくさん出てくるし、参加している人たちがコミュニケーションしたり出展しているものを購入し合ったりとか、相互のコミュニケーションも行われてとても盛り上がりました」と話す。また、秋葉原会場はステージが地下、マーケットが2階で、上下の行き来が必要で熱気が伝わりにくいという課題も移転のきっかけとなった。
規模を拡大したAIクリエイターズマーケットが目玉だが、これまで同様にワークショップやトークセッション、AIハッカソンの決勝なども行われる。
新たに「AIゲーム」コーナーを設置
新たな取り組みとして「AIゲーム」コーナーが実施される。これはAI研究家の清水亮氏が掲げる「AIゲームセンター」構想を具現化するものだ。この構想を実現すべくクラウドファンディングを実施し、目標額100万円に対して最終的に700万円が集まった。会場でどのようなゲームが出るのかは「当日までのお楽しみ」とのこと。
民主化したAIを「使う」から「創る」へ
永井氏は「AIが身近な存在になったのは、スマートフォンで簡単に触れられるようになったことが大きいと思っています。子供もChatGPTを”チャッピー”と呼んでいるぐらいで、AIそのものは民主化していると思います。しかし、AIを活用してクリエイティブなことを行うという部分に関しては、まだまだこれからだと考えています」と指摘する。AIフェスティバルやAIアートグランプリで展示される作品に触れ、作者と触れ合うことで「自分にもできる」と思ってもらいたいという。
ビジネスシーンではAIが不可欠だが、個人での活用はまだキラーアプリやキラーコンテンツが見当たらない。そこで「Dospara Creative Production(DCP)」という会員の創造活動を支援するプログラムでAIセミナーを開始し、まずは知ってもらうことが入り口だと考えている。
サードウェーブの本業はPC販売だが、AIフェスティバル開催以降、AIという観点でのPCの売れ行きに大きな変化はまだ見られていないという。「うちはいつも遠くに弾投げてるんですよ」と永井氏は笑うが、「我々は”エコシステム”と呼んでいますが、エコシステムが揃わないとその分野は滅びるんですよ。野球で言うと少年野球から高校野球の甲子園、プロ野球まであって、地方や学校に野球のグラウンドがあって、多くの観客が集まって放送もされている。だからこそ滅びることなく続いています。AIも同じで、AIの市場や環境の整備が必要だと思っています。我々の企業ミッションは”人々の創造活動の可能性を最大限にする”というものでして、そのためには、我々だけでできることではないですが、旗を振ってでもAIの市場を広げていく。そしてそれがいずれ我々に返ってくればいい」と語る。
日本でいちばんの「AIのお祭り」を目指して
今後の展望について、永井氏は「それはもう、日本のAIシーンの中でいちばんのお祭りの場所にしたいです。AIで何かを作る人も使う人も楽しめる場所であり続けたい、そしてそれを可能な限り大きくしていきたいです。また、主要なAI関連のメーカーさんには協賛していただいて、実際にブースも出していただいていますが、我々と同じ業界の方で、AIマーケットを広げていくという部分に共感していただける方には、ぜひ一緒に参加してお手伝いいただけたらと思います。我々だけでやれることには限りがありますので、同じ想いで参加していただけると嬉しいです。そして、力の許す限り、大きくしていきたいと思います」と意気込みを見せた。
サードウェーブの取り組みは自社の利益にとどまらず、業界全体を巻き込んでAI市場を活性化しようという意気込みが感じられる。AIフェスティバル 2026は昨年以上の盛り上がりが期待される。



