2026年8月1日、マイナビPLACE歌舞伎座タワーにて「将棋AIサミット2026 powered by DAIV 10th Anniversary」が開催された。マウスコンピューターが冠タイトルとなった本イベントには、定員の2倍を超える応募があったという。
会場には、AMD Ryzen 7 9700Xを使用したミニタワー製品「DAIV KM-A7G60 / KM-A7G70」や、AMD Threadripper 9960Xを使用した「DAIV FW-P6G80」、AMD Threadripper PRO 9995WXを使用した「DAIV FW-P9G80」などが展示された。いずれもNVIDIA RTX 5000シリーズを搭載した高機能製品で、実際にAMD Threadripperマシンを試用できる機会は貴重だった。
AMD CPU採用の理由と将棋AIへの適性
展示製品がAMD CPUのみである理由について、スタッフは「現在のIntelがP/Eという二種類のCPUコアを使用しているのに対し、AMDはフルパフォーマンスのコアのみを搭載しているため、CPUを多用する将棋AIプログラムの動作でメリットがある」と説明した。また、NVIDIA製GPUを使用する理由については「将棋AIソフトのうち、GPUを使用するDL系のものが開発環境としてNVIDIA CUDAを使用しているため」と述べた。
かつてAMD Threadripper PROは、藤井聡太氏が「ぜひ使いたい」とツイートしたことで話題となった。当時、藤井氏はRyzen Threadripper 3990Xを使用したパソコンを愛用しており、AMDはブランドCMに起用し、当時最高峰のRyzen Threadripper PRO 5995WXを将棋トレーニング用マシンとして提供していた。
OKAMURAブースと特別対局
イベントにはOKAMURAも協賛。将棋の公式戦では椅子対局の朝日杯将棋オープン戦などでスポンサー協賛やイベントを展開しており、棋士も自宅での研究時にOKAMURAの椅子を使用している。会場ではContessa IIとSylphyの座り心地を体験できた。
最も注目を集めたのは、YouTuber「Suger」氏と中村太地八段による特別対局だ。ルールは角落ち+一手20秒+3回AIサポートというもので、AIオペレーターは小髙佐季子女流初段が担当した。AMD Threadripper PRO 9995WX上で動作する将棋AIは、この時点で1.7億ノードを評価する圧倒的な性能を見せた。
Suger氏は序盤でAI補助を封印し、中盤以降に使用したが、3回利用したのちに中村八段が追い込み、勝利を収めた。対局後、中村八段は「将棋AIが示す最善手は必ずしも人間にとっての最善手に見えない事がある。最善手を指したのちも最善手を指さないと評価が急落する可能性があるため、読み、判断、方針の一貫性が不可欠」とAI活用の難しさを説明した。
生成AIによる解説「駒あかり(仮)」
ステージでは、水匠チームでくまだこう氏が中心となって開発されている「駒あかり(仮)」が紹介された。一般の将棋AIは現在の最善手と評価値を示すだけで「なぜそうなるのか」という観点に欠けるが、駒あかりちゃんは局面の解説を文章で生成する。
デモンストレーションでは、角換わりで早繰り銀から腰掛け銀になりつつ局面を例に、人が指したくなる手やその手が進んだ際の危険性を説明。良い手には星マークを付け「ナイス」等の言葉でほめる機能もあり、初心者のモチベーション維持に配慮している。また、最善手でない場合も代替案とその理由を示す。
この文章生成にはLLMを活用しており、「(この手を指すことで)三手先で飛車を取る布石となっている」のような戦略的な方針も言語化する。さらに、解説者の口調を「弁護士」「猫」「ギャル」など様々なキャラクターに変更できる機能も搭載している。
駒あかりちゃんは現在初心者向けに開発されているが、今後プロユースへの展開や将棋サービスでの活用が期待される。イベントには子供連れの参加者も多く、若い層への将棋の浸透を感じさせる内容だった。



