Microsoft元社員が語る、Windowsが社内で軽視された理由と復活への動き
元MS社員が語る、Windows軽視の理由と復活への動き

Microsoftに25年以上在籍した元社員のEwan Dalton氏が、Windowsが社内で長年にわたり優先順位を下げてきた背景を分析する記事を発表した。Dalton氏は自身の経験を基に、Windowsの位置付けの変化を振り返り、現在の品質改善への動きを過去の「復活劇」と重ね合わせて考察している。

Dalton氏は7月下旬、MicrosoftがWindowsに再び重点を置く姿勢を示しているとする記事を掲載。同僚の記者はWindowsが収益の柱ではない事実に触れつつも、真剣に取り組んでいる様子を紹介した。しかし、周囲からは懐疑的な反応があったという。そこでDalton氏は、経験に基づく内情と、過去の過ちから復活してきた歴史を説明し、今回も同様の復活劇を踏襲する動きが見られると指摘した。

Windowsが軽視された理由

Dalton氏は、WindowsがMicrosoftの成長を支えた基盤である一方、事業拡大に伴い相対的な重要性が薄れたと回顧する。かつてはWindowsの発売時に販売店へ購入希望者が行列を作る光景も見られたが、現在は新しいPCにプリインストールされる形が主流となり、単体パッケージを購入する利用者は大幅に減少した。

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企業の経営層は時代の流れに敏感で、関心や投資は成長が期待できる事業や競争が激しい分野に集まりやすい。Microsoftでも近年はAI関連への大規模な投資が続いている。一方、Windowsへの大規模な追加投資が利用者数の大幅増加につながる保証はなく、クラウドや企業向けソフトウェアなどが収益の柱となったことで、Windowsの重要性は薄れていった。

Dalton氏は、昨今指摘されるWindowsの品質問題は意図的なものではなく、社内の優先順位の変化や部門間の利害の違いなど複数の要因が重なった結果との見方を示す。しかし、品質改善を怠ればMicrosoft全体に悪影響を及ぼす可能性があると指摘する。

組織再編でWindowsはCEO直結へ

Dalton氏によると、2018年にはWindowsの中核部分がCloud & AI部門へ、ユーザーインタフェースやアプリケーションはExperiences & Devices部門へ移され、WindowsはCEO直属ではなくなった。Dalton氏はこの時点で組織の中核から外れ、周辺事業として再編されたと捉えている。

その後も再編は続き、2020年にはPanos Panay氏がWindowsとSurfaceを統括し、翌年にはWindows 11を投入。Panay氏がAmazonに移籍後はPavan Davuluri氏が体制を引き継ぎ、副社長のRajesh Jha氏が指揮を取る体制が維持された。2026年3月にJha氏が退任を表明した後は、Davuluri氏がCEOのSatya Nadella氏へ直接報告する体制へ移行。この再編により、Windowsを単独で統括する組織はなくなり、Windowsを構成する機能が複数の部門に分かれる体制となった。

「信頼できるコンピューティング」の再来か

Windowsの品質が低下すれば、企業顧客はOSだけでなく、認証、セキュリティ、業務ソフトなどMicrosoft全体の製品群への信頼も失いかねない。Dalton氏は、Windowsの品質問題がOSだけでなくMicrosoftの製品・サービス全体への信頼に影響すると指摘する。

過去にもMicrosoftは深刻な課題に対応した経験がある。2000年代初頭にはCode RedやNimda、ILOVEYOUなどのウイルスやワームが相次ぎ、WindowsやSQL Server、Officeの信頼性が大きく揺らいだ。これを受け、同社は開発を一時停止し、技術者への安全なコーディング教育と徹底的なセキュリティレビューの実施を強制。新機能よりセキュリティを優先する「信頼できるコンピューティング(TwC)」構想を打ち出し、Windows XP Service Pack 2などの成果につなげた。Bill Gates氏も当時、機能追加とセキュリティ向上の選択ではセキュリティを優先すべきだと表明している。

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Dalton氏は、Windows 11の品質改善や更新プログラムの品質基準を引き上げる現在のMicrosoftの姿勢は、このTwC構想と共通点があると分析。Windowsは同社の幅広い製品群を支える基盤であり、その品質と信頼性を回復することは、企業顧客との関係維持や競争力確保に直結する重要な取り組みであると結論付けている。