GMOインターネットのクラウドサービスが不正アクセスを受けた問題で、同社は24日、不正アクセスが原因で個人投資家らのFX(外国為替証拠金)の取引で生じた損害を補償する方針を発表した。今月1日に本格施行された能動的サイバー防御関連法に基づき、政府に「能動的サイバー防御」の適用を緊急要請したことも明らかにした。
政府関係者の見解
不正アクセスを受けたGMOインターネットが政府に緊急要請した「能動的サイバー防御」は、警察や自衛隊が攻撃元サーバーに侵入し、無害化を行える措置だ。政府が主体的に要件を満たすかどうかを見極め発動を判断する。個別企業の要請で発動を決めることは想定しておらず、同社の対応への戸惑いも広がっている。
無害化措置は、放置すれば重大な危害が発生する恐れがある場合や、外国政府が関係する組織的かつ計画的な攻撃の場合に実施する。攻撃元のサーバーに入って攻撃プログラムの停止・削除などを行い、機能を停止させ、被害を防ぐ。今月1日に関連法が本格施行され、実施が可能となった。
要請への反応
政府関係者は24日、「要請は法的根拠がなく、個別企業の求めに応じて発動を決める制度ではない」と強調した。本来は攻撃前に兆候を把握し、未然に被害を防ぐ措置でもある。同社のケースでは攻撃が行われており、別の政府関係者は「被害発生後では意義が乏しい」と説明する。
同社が要請を公表したため、無害化措置を実施した場合に「手の内をさらすことになる」(政府高官)との懸念もある。いずれにしろ、政府は原則、実施したかどうかを事案ごとに公表しない方針だ。
無害化措置の仕組み
無害化措置は「人の生命、身体または財産に対する重大な危害」を防ぐ目的で専門能力を持つ警察官が実施する。「特に高度に組織的かつ計画的」な海外からの攻撃には自衛隊が警察と共同で対処する。実施には独立機関の「サイバー通信情報監理委員会」の事前承認が原則、必要で、緊急の場合は事後通知も認められている。海外のサーバーを対象とする場合は、外相との事前協議も必要となる。