KDDI「povo」が本気でメイン回線狙う、楽天ローミング終了前に品質勝負
KDDI povoがメイン回線狙う、楽天ローミング終了前に品質勝負

KDDIのサブブランド「povo」が、2026年6月25日に「データ使い放題24時間×10回分」のプレゼントキャンペーンを発表した。これは、同ブランドがこれまで副回線としての位置づけから、本格的にメイン回線市場に参入する意図を示すものだ。背景には、9月末に迫る楽天モバイルとのローミング契約終了がある。

楽天ローミング終了がもたらす市場の変化

楽天モバイルは、自社エリアを補完するためにKDDIのauローミングを利用してきたが、この契約は2026年9月30日に期限を迎える。KDDIの松田浩路社長は5月の決算説明会で、このローミングについて「当初の役割は終えた」と述べ、楽天ユーザーの副回線としてpovoを提供するアイデアに言及していた。6月にはローミング提供エリアが都市部を中心に縮小し、楽天回線がつながりにくくなったとの声がSNSで増加している。

記者会見では、6月という閑散期に施策を打つ意図や、楽天ローミング終了との関連を問う質問が相次いだ。濱田達弥社長は楽天への直接言及を避けつつ、「年間を通すと6月は静かでイベントの少ない時期だ。7月、8月と夏に向けて利用が増えるトレンドをつかむ意味がある」と説明。その上で「他社の通信回線が使いにくいという声が顕著に出ているのは事実。それに対して何かを打って出ようと考えた」と、品質を武器にした攻めの動機を認めた。

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マルチブランド戦略のジレンマ

povoがメイン回線を狙うことは、KDDIのマルチブランド戦略の中で微妙な位置づけを生む。KDDIはau、UQ mobile、povoの3ブランドを保有する。povoが伸びれば、同じグループのauやUQ mobileと顧客を食い合う可能性がある。また、povoでメインを獲得した後、結局auへ誘導するのではないかとの懸念もあった。囲み取材では、この点を突く質問が続いた。

濱田氏は3ブランドの棲み分けを強調した。auのメインブランドは、ポイントプログラムや金融サービスとセットで使うフルスペックの価値を提供する。一方、povoは基本料0円と幅広いトッピングによる柔軟性が持ち味だ。「au経済圏をもっと楽しみたい客にはauをどうぞと言えるし、他社のポイントプログラムや決済を使いたい客には、その柔軟性を持って我々のサービスを使ってもらえる」と述べた。

濱田氏は、グループ全体で顧客を囲い込むのが理想だとしつつ、「必ずしもそうじゃないお客さんもいる。それを強要するものではない」とも述べた。auの経済圏に乗らない利用者を、povoの柔軟性でつなぎとめる構えだ。

競合と自社への影響

povoが品質を掲げてメイン回線を取りにいくほど、同じKDDIのauと競合する場面は増える。今回の攻勢は、その重複を承知で他社への流出阻止を優先したものといえる。9月末には、楽天が頼ってきたauローミングが切れる。他社の電波が細るその前に、povoはau品質を売りに新規ユーザーを呼び込みにかかった。料金でも容量でもなく、つながりやすさで勝負を仕掛けている。

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