住友商事は、完全子会社である食品スーパーのサミットとドラッグストアのトモズのポイント制度を統合し、共通ポイント「STポイント」を昨年10月に開始した。両社の会員IDを統合し、会員数は約500万人に上る。この統合により、住友商事はグループ内外の小売りチェーンを巻き込んだ新たな「ポイント経済圏」の構築を目指す。
データ活用でクロスセルを促進
統合の最大の狙いはデータ活用にある。両社の購買データを横断的に解析することで、個社のデータだけでは把握できなかった顧客属性や消費傾向を明らかにし、営業戦略に生かす。例えば、スーパーで高カロリー食品を多く購入する30代男性が、ドラッグストアでスキンケア製品を頻繁に購入しているといった傾向を把握できる。これにより、トモズへの来店頻度が減少した顧客に対してスキンケア品のクーポンを配信し、来店を促すクロスセル施策が可能となる。
小売りがデータ活用の主導権を取り戻す
住友商事は、小売り各社が個別にポイントを運用する現状を打破し、データ活用の主導権を小売り側に取り戻す構想だ。従来のポイント経済圏は、楽天やAmazonなどプラットフォーマーが主導してきたが、住友商事は「ノウハウ不要」「加盟社に利益還流」を掲げ、加盟企業が手軽に参画でき、データ活用によるメリットを享受できる仕組みを提供する。グループ外の小売りチェーンにもSTポイントへの参画を呼びかけ、規模拡大を図る。
ID数「1億超え」の競合は遠い
競合には、楽天グループの楽天ポイントや、NTTドコモのdポイントなど、ID数が1億を超える巨大経済圏が存在する。住友商事のSTポイントは現状500万会員だが、グループ外への拡大を進めることで、差別化を図る。住友商事は「小売りがデータを活用しやすくする」点を強みに、競合との差別化を目指す。
住友商事は、今回のポイント統合を皮切りに、グループ全体で「商社×川下ビジネス」の第2幕を掲げ、小売りとデータの融合による新たな価値創造に挑む。



