ソニーグループの「着るエアコン」ことREON POCKETシリーズの最新モデル「REON POCKET 6」が2026年5月12日に発売された。前世代のREON POCKET 5から冷却性能が向上し、最大-2℃の冷たさを実現。デザイン面でも大きな進化を遂げている。本稿では、プロダクトデザインの視点から、本機の魅力を深掘りする。
デザインの鍵を握る2人のベテラン
REON POCKET 6のデザインを手がけたのは、ソニーデザインコンサルティングのシニアデザインコンサルタント、八木橋達也氏と、ソニーグループ クリエイティブセンターのデザインプロデューサー、平野心平氏。八木橋氏は歴代REON POCKETシリーズのデザイン方向性を決定づけてきたキーパーソンであり、平野氏は「WH-1000XM5」や「LinkBuds S」など、ソニーを代表するウェアラブルデバイスのデザインを多数手がけてきた。
平野氏は「6」の基本設計を初めて見たとき、単に小型化・軽量化を追求するよりも、「ユーザーが身に着けて心地よさを実感できる」ことを優先すべきと考えたという。その理由は、心地よさこそがREON POCKETシリーズの本質的な体験価値だからだ。
冷却性能と装着感を両立する3次元形状
REON POCKET 6は、上位モデル「REON POCKET PRO」と同じく、2基のペルチェ素子を搭載した「DUALサーモモジュール」構造を採用。PROよりもペルチェ素子やバッテリーが小型であるため、本体を小さくできる余地があったが、平野氏はあえて小型化よりも装着感を優先した。
最大の変更点は、肌に触れるステンレスプレートの形状だ。従来のフラットな形状から、側面へ緩やかにカーブする3次元的な形状へと変更。これにより、プレートの端(エッジ)を隠すための溝が不要になり、肌に触れる面がフラットで滑らかになった。平野氏は「身体に触れる面にエッジや溝がなくなり、より柔らかなフィット感が得られる」と説明する。
実際に使用した筆者も、プレートが首元にピタリと密着し、冷感が持続する効果を実感している。
清潔感を重視したデザイン
REON POCKET 6では、本体の溝や段差、パーツの隙間を徹底的に減らした。その背景には、衛生面への配慮がある。平野氏は「コロナ禍を経て、肌に触れるデバイスを清潔に保ちたいというニーズが強まった。REON POCKETは汗をかいた肌に直接触れるため、溝に汗やホコリがたまるのを防ぎ、ひと拭きで清潔にできるデザインを意識した」と語る。
例えば、USB充電端子にはカバーを付け、汗の侵入を防止。本体背面も、従来の細かいスリットから浅い凹みに変更し、ホコリがたまりにくく、手入れが容易になった。この凹みは、衣服への張り付きを防ぎつつ、放熱効果も確保している。
日常に溶け込むカラーと質感
カラーリングにもこだわりが見られる。従来シリーズは涼しさを表現するクール系ホワイトが主流だったが、「6」では温かみのあるライトグレーを採用。男女問わず、さまざまなファッションに調和するニュアンスカラーだ。
本体表面には「良触感シボ」と呼ばれる特殊加工を施した。これは柔らかく優しい触り心地でありながら、傷や汚れに強い特性を持つ。平野氏によれば、ソニーのプロダクトとして初めて本格採用した例だという。
継承されたアダプティブホールドデザイン
安定した装着を実現するため、上位モデル「PRO」から「アダプティブホールドデザイン」を継承。専用ネックバンドは首回り約28〜46cmに対応し、メカニカルフレキシブルチューブ採用により自在に形状調整が可能。エアフローパーツは長さと角度の調節が可能なアジャスタブルタイプで、着脱もボタン不要の機構に改良された。
REON POCKET 6は、冷却性能の向上だけでなく、デザイン面でもユーザーの快適さと清潔感を追求した意欲作だ。ソニーのデザインフィロソフィー「先駆」「本質」「共感」を体現した本機は、この夏の暑さ対策に新たな選択肢を提供する。



