6月、毎月分配型投資信託がNISA口座で運用できる事態が発生した。運用会社による突然の方針転換が原因で、NISA制度の空隙を突かれた形だ。金融庁は毎月分配型をNISAの対象外としてきたが、今回の騒動でその意味が改めて問われている。
「四半期分配」から「毎月分配」に変更されたHDV
問題のファンドは、米ブラックロックが運用する「iシェアーズ・コア 米国高配当株 ETF」(HDV)だ。HDVはエクソンモービルやプロクター・アンド・ギャンブル、コカ・コーラなど高配当銘柄で構成され、ニューヨーク証券取引所に上場するETFである。NISAの成長投資枠にも指定され、税優遇との相性の良さから日本の個人投資家に人気だった。
6月中旬、複数のネット証券がHDVの買い付け注文を取り消すメールを顧客に送信。理由はブラックロックによる商品改定で、6月17日にHDVの分配金支払い頻度を「四半期」から「毎月」に変更することが発表されたのだ。
毎月分配型投信とNISA制度の背景
毎月分配型投資信託は、1カ月ごとに決算を行い収益の一部を投資家に分配する。定期的な現金収入を求める投資家に人気だが、複利効果が働きにくく長期の資産形成には適さないとして、金融庁はNISAの対象外とする厳格な対応をとってきた。
今回のHDVは、もともと四半期分配だったためNISA対象だったが、運用会社が一方的に毎月分配に変更したことで、制度の抜け穴が露呈した。金融庁の担当者は「制度の趣旨に反する行為であり、問題認識を持っている」とコメントしている。
投資家への影響と今後の課題
この変更により、すでにNISA口座でHDVを保有する投資家は、分配金を受け取り続けることになるが、新規の買い付けは停止される見通しだ。ネット証券各社は対応に追われ、SBI証券や楽天証券はHDVの買い付けを一時停止した。
専門家は「運用会社の都合で分配頻度が変わるリスクを投資家が認識すべきだ」と指摘。金融庁は今後、ETFの分配頻度変更をNISA対象外とするルールの明確化を検討するとみられる。



