毎月10万円を新NISAで積み立て、運用を続けた場合、資産1億円に到達するまでに必要な期間が試算されました。年率5%で運用できた場合、約33年10カ月で1億円に達する計算です。
新NISAの非課税枠と積立の仕組み
新NISAでは、年間の投資上限は「つみたて投資枠」が120万円、「成長投資枠」が240万円で、合わせて360万円です。毎月10万円を積み立てる場合、年間120万円となり、「つみたて投資枠」を使い切る形になります。
このペースを続けると、生涯の非課税保有限度額である1,800万円には15年で到達します。上限は時価ではなく「取得価額(簿価)」で管理されるため、1,800万円分の資産が運用で3,000万円に増えても、売却しない限り非課税で運用を続けられます。
非課税枠を使い切った後も月10万円の積み立てを続ける場合は、課税口座を利用することになります。
利回り別の到達期間と複利効果
毎月10万円を積み立て、最初の15年間はNISA、16年目以降は課税口座で運用した場合の試算は以下の通りです。課税口座の運用益には20.315%の税金がかかり、「資産1億円」は税金を差し引いた手取り額で判定します。
- 年率3%:約43年0カ月
- 年率5%:約33年10カ月
- 年率7%:約28年4カ月
年率5%のケースでは、33年10カ月で積み立てた元本は4,060万円。NISAと課税口座を合わせた資産は税引前で約1億336万円となり、課税口座の運用益にかかる税金約292万円を差し引いても、手元に残る資産は約1億43万円です。
つまり、自分で積み立てたお金は4,060万円ですが、運用によって実質的に増えた金額は税引後でも約5,983万円。1億円の資産のうち、およそ6割は長期間の運用によって増えた部分です。
実際の運用では毎年5%ずつ順調に増えるわけではなく、大きく上昇する年もあれば20%、30%と下落する局面もあります。それでも、長期間の積み立てと運用による複利効果が資産形成に大きく影響することがわかります。
1億円の取り崩しと4%ルールの注意点
資産が1億円に達すれば、年率5%で運用した場合、単純計算では年間500万円の運用益が期待できます。しかし、株式市場は上昇と下落を繰り返すため、毎年500万円を受け取れるわけではありません。
資産の取り崩し方として知られる「4%ルール」は、退職した最初の年に資産の4%を取り崩し、翌年以降は物価上昇率に合わせて調整する方法です。1億円の資産があれば、初年度の取り崩し額は400万円となります。
ただし、4%ルールは米国の過去の株式・債券市場をもとに、一定の資産配分で30年間にわたって資産を維持できる可能性を検証した研究に基づく考え方です。日本では市場環境や税制、物価上昇率が異なるため、そのまま当てはめられるとは限りません。
特に40代や50代でFIREする場合は、取り崩し期間が30年を超える可能性があり、退職直後の大きな相場下落や想定以上のインフレ、医療・介護費などの支出も考慮する必要があります。
老後には年金収入もあり、現役時代と比べて生活費が減る人もいる一方、医療費や介護費が増える可能性もあります。大切なのは、資産を減らさないことではなく、残したいお金と使いたいお金のバランスを考えることです。
今回の試算からは、1億円は最初から多額の資産を持つ人だけが目指せる金額ではないことがわかります。月10万円でも、30年、40年という長い時間をかけて積み立てと運用を続ければ、複利の効果で1億円に到達する可能性があります。