LINEは7月2日に開催した15周年イベント「Connect the Next」で、同アプリを「買い物アプリ」へと大きく転換させる戦略を発表した。これまで企業向け広告や課金に依存してきた収益モデルから、1億人のユーザー自身の日常消費に収益源を広げる狙いだ。
企業から稼ぐモデルの限界
LINEヤフーの主力収益源は、企業向けのLINE公式アカウントや広告だ。公式アカウントは127万に達し、アカウント広告の売上収益は2026年3月期に前年比15.3%増と成長を続けた。しかし、広告を主体とするメディア事業全体では売上収益が7351億円と0.4%増の横ばいにとどまり、検索広告は減収。調整後EBITDAは生成AI関連費用の増加などで2.2%減少した。
グループ全体の売上収益2兆363億円を押し上げたのは、PayPayを中心とする戦略事業(前年比30.6%増)であり、広告に次ぐ柱の育成が急務であることが決算数字からも明らかだ。
動画タブを廃止し、EC売り場に転換
LINEはアプリ内の「動画」タブを廃止し、新たに「ショッピング」タブを設置する。これまで動画広告の面だったスペースを、EC(電子商取引)の売り場に変えることで、1億ユーザーの目に直接商品を届ける仕組みを構築する。ユーザーはLINE内で商品を検索・購入できるようになり、決済にはPayPayが連携される。
無料トーク機能を課金特典に
従来無料だったトーク機能の一部を、月額制サービス「LYPプレミアム」の特典とする。具体的には、トークメッセージのバックアップ容量拡大や、スタンプの使い放題などが含まれる。LYPプレミアムの直接契約会員は666万人と全ユーザーの7%未満だが、この施策により課金ユーザーの増加を狙う。
決済とポイントで消費の回路を閉じる
LINEはPayPayとの連携を強化し、ショッピングから決済、ポイント還元までを一貫してLINE内で完結できる「消費の回路」を構築する。PayPayの決済データを活用したパーソナライズドクーポンや、LINEポイントの共通化により、ユーザーの囲い込みを図る。LINEヤフーは「1億人の日常の消費をLINEに取り込む」としている。
今後の展望
LINEの大転換は、ユーザーにとっては利便性が向上する一方、プライバシーやデータ活用に対する懸念も指摘される。LINEヤフーは「ユーザーの同意を得た上で、安全にデータを活用する」と説明している。この戦略が成功すれば、LINEは単なるコミュニケーションアプリから、生活経済圏を提供するプラットフォームへと進化することになる。



