KDDIのサブブランド「povo」が、本格的にメイン回線としての地位を狙い始めた。2026年6月25日、同社は「データ使い放題24時間×10回分」をプレゼントするキャンペーンを発表。背景には、楽天モバイルのローミング終了を前にした品質競争の激化がある。
MNP加入者が約2倍に増加
KDDI Digital Lifeによると、MNP(番号そのままの乗り換え)でpovoに加入する利用者は、2024年下期と2025年下期の比較で約2倍に増加した。同社はこれを、サブ回線ではなく日常的に使うメイン回線として選ばれ始めた表れと分析している。
また、デュアルSIM(2枚のSIMを使い分ける利用形態)でpovoを併用する利用者も、2025年5月から2026年5月の1年間で約1.5倍に増加。povoをサブ回線として持つ動機としては、「災害や通信障害時に備えたい」が最多で、次いで「メインで使っていた回線がつながらない」が挙げられた。
他社回線への不満を可視化
濱田達弥社長は、他社回線への不満を自社調査の数字で示した。2026年6月にpovo利用者1021人を対象に実施した調査では、povoと併用されているメイン回線の通信品質への満足度を社名を伏せて公表。KDDIが91.2%、A社(筆者はソフトバンクと推測)が87.6%だったのに対し、B社(NTTドコモと推測)は44.4%、C社(楽天モバイルと推測)は38.6%にとどまった。
不満の具体的内容も明らかにされた。建物の中や地下でのつながりにくさを感じた割合は、KDDIとA社が8.8%だった一方、B社は36.6%、C社は53.7%に達した。電車やバスなど公共交通機関での速度低下でも、KDDI(7.5%)、A社(8.9%)とB社(29.8%)、C社(31.0%)の差が大きく開いた。
濱田氏は「朝一から繋がらないストレスは、なんとなく気持ちが重たくなる」と自身の体験を語り、他社の品質低下がpovoへの追い風になっていると指摘。デュアルSIMでpovoを併用するユーザーのうち、メイン回線の約8割が他社という結果も示した。
auの品質を裏づけるOpensignalの評価
KDDIは、第三者機関Opensignalの評価も活用。最新の通信品質レポートでは、auが複数の指標で高い評価を得ており、これがpovoの品質保証にもつながっていると説明する。特に、屋内や地下での接続性や、混雑時の速度維持において優位性を強調している。
楽天モバイルが2026年秋にも自社回線へのローミング終了を予定する中、povoは品質面での差別化を図り、メイン回線の獲得を加速させる戦略だ。



