LINEのメッセージが異様に長い、誤って別の人に送ってしまう、写真を大量に連投する――これらはシニア世代にありがちな「ちょっと困ったLINEの使い方」だ。スマホ活用アドバイザーで1万5000人以上のシニアにスマホを教えてきた増田由紀氏は、その背景には意外な事実があると指摘する。本稿では増田氏の著書『世界一簡単! 70歳からのLINEの使いこなし術』から一部を抜粋・編集して紹介する。
まるで巻き物…父親から送られてくる長文LINE
総務省のデータによれば、日本国民の94.9%がLINEを使っている。60代以上に限っても91.9%と、LINEは国民的コミュニケーション手段となっている。しかし、親世代や周囲のシニア層からのLINEに「あれ?」と思うことは多い。特に多いのが「親からのLINEがとにかく長い」という悩みだ。
増田氏の50代の知り合いは、父親から送られてくるLINEの文字量に毎回圧倒されているという。「『おはよう』というあいさつから始まり、『明日の通院のことなのだが』と用件が続き、終わったと思ったら『ところで、この前同窓会があり』と別の話題が……。スクロールしてもなかなか終わらなくて、巻き物か!?と思いましたよ」と語る。
増田氏の生徒(70代以上)も「子どもや孫にLINEが長いって笑われる」とよく話す。これまで26年、1万5000人以上のシニアにパソコンやスマホを教えてきた経験から、増田氏は「メッセージが長いのはシニアあるある。感覚的には男性のほうが長文傾向がある」と述べている。
なぜシニアは長文LINEを送るのか
シニア世代が長文LINEを送る理由として、増田氏は「パソコン時代の名残」を挙げる。かつてパソコンでメールを書く際には、一通のメールにすべての用件をまとめるのが一般的だった。LINEも同じ感覚で、一つのメッセージに複数の話題を詰め込んでしまうという。また、改行や句読点を適切に使わず、一続きの文章になりがちな点も長文を生む要因だ。
さらに、スマホのフリック入力に不慣れなシニアは、手書き入力や音声入力を利用することも多く、それが一文を長くする傾向につながる。増田氏は「シニアは『伝えたいこと』を漏らさず書こうとするあまり、結果的に長くなってしまう」と分析する。
「別の人に送っちゃった!」送信取り消しはスピード勝負
誤爆、つまり間違った相手にメッセージを送ってしまうのもシニアに多いトラブルだ。LINEでは送信後、一定時間内であればメッセージを取り消せるが、その操作に気づかない、あるいは操作が間に合わないケースが多い。増田氏は「誤送信に気づいたら、すぐにメッセージを長押しして『取消』をタップする。時間との勝負です」とアドバイスする。
特にグループトークでの誤爆は、相手を不快にさせるだけでなく、個人情報漏洩のリスクもある。増田氏は「送信前に相手の名前と内容を必ず確認する習慣をつけることが重要」と強調する。
連投、大量の写真、一方的なアルバム消去…
写真の連投もシニアにありがちな行動だ。旅行先やイベントで撮った写真を、枚数を気にせず一度に送ってしまう。受け取る側は大量の通知に圧倒され、スマホのストレージを圧迫することもある。増田氏は「写真は厳選して、一度に5枚以内に抑えるのがマナー。LINEのアルバム機能を活用すれば、相手の負担を減らせる」と提案する。
さらに、LINEのアルバム機能に関する「2つの大きな勘違い」があるという。一つは「アルバムに保存した写真は相手にも自動で保存される」と思い込んでいること。実際は、アルバム内の写真は共有されるが、相手の端末に自動保存されるわけではない。もう一つは「自分がアルバムを削除すると相手の端末からも消える」と誤解していること。自分が削除しても、相手がダウンロード済みの写真は消えない。増田氏は「アルバム機能の正しい理解が、トラブル防止につながる」と話す。
世代間ギャップを埋めるために
増田氏は、シニア世代のLINEトラブルを防ぐには、家族や周囲が優しく教えることが大切だと説く。「『長すぎる』『うざい』と否定するのではなく、『こうすると読みやすいよ』と具体的にアドバイスしてほしい」と呼びかける。例えば、用件ごとにメッセージを分ける、適度に改行を入れる、スタンプや絵文字を活用するなどの工夫を伝えると効果的だ。
LINEは便利なツールだが、使い方次第で相手にストレスを与える可能性もある。特にシニアと若年層の間では、デジタルリテラシーの差がトラブルの原因になりがちだ。お互いが歩み寄り、快適なコミュニケーションを心がけることが重要だろう。



